月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

甘いのが好き

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やーもう軟弱と言われようと甘ったるいと言われようと馬鹿っぽいと言われようと、大好きなんすっ、ハーマンズ・ハーミッツ!ボーカルのピーター・ヌーンは子役出身だというし、グループはアイドル的なもてはやされかたをしてたというし、映画にもいっぱい出てたみたいだし、まあ硬派なロックファンには芸能界的と思われるところもあるのかもしれないけど。

 

60年代中期から後期の、ビートルズを筆頭とした「ブリティッシュ・インヴェンジョン」の波の中にいたグループ。私が持ってる10年以上前のベスト盤の解説(八木誠さん)を久しぶりに読むと、あらためて勉強になることが多い。曰く、「リヴァプールサウンド」とひとくくりにされがちなイギリスバンド勢でもリヴァプール出身ばかりではなかったし、地方によって個性があった、と。ビートルズやジェリー&ペースメーカーズ、サーチャーズなんかはリヴァプールで、ローリングストーンズ、デイヴクラークファイヴ、アニマルズ、キンクスなど(マンフレッドマンゾンビーズもそうだ!)はロンドン周辺、このハーマンズ・ハーミッツやホリーズ、フレディ&ドリーマーズはマンチェスター…と聞くと、たしかに~と思う。リヴァプール勢はほんとにマージービートの本流って感じだし、ロンドンは何というかもっとソリッドな感じ、でマンチェスターは甘~いよさがあるような。ってテキトーな印象ですけど。(この辺、銀次さんや杉さんや松尾清憲さんに語らせたら、三日三晩、止まんないだろーなー。)

 

日本と同じように狭いイギリスの国の中でも、当たり前だけど地方によって個性があるって、すっごくゆたかなことだと思う。日本のさらに東京という一地域の中でも、青山・渋谷・麻布の三角地帯で生まれたはっぴいえんどの音と、羽田サウンドと呼ばれたはちみつぱいの音が、違う手ざわりを持っているように。って例がちょっと特殊でしたか。でも、音楽に限ったことじゃないけれど、時間の経過は(もしくはそこに含まれる人間の思惑は)、「地域性」を失くす一方通行を今のところ「文化の発展」と考えてるみたいで、後悔しそうな気がする。どこに行ってもコンビニのお弁当みたいな音楽だったら、つまらないんだけどね。

 

で、ハーマンズ・ハーミッツに戻りますが。彼らは自分たちでソングライティングをせずに作家の作品を歌っていたせいもあって、アイドル扱いされた部分もあるのかな、と思う。でもおかげでゴーフィン&キングとか、ボブ・クリュウフォー・シーズンズのプロデューサー)とか、P.F.スローンとか、グラハム・グールドマン(のちの10CCのメンバー)とか、ソングライターは一流揃い。ここからあのバブルガム・ポップの嵐が生まれたのだなー。ハーマンズ・ハーミッツでちょっと困るのは、「恋」タイトルが多すぎて、どれがどの曲かすぐわかんなくなっちゃうこと。「見つめあう恋」「恋はハプニング」「恋はハートで」「恋のランプ・ポスト」「恋は晴れのちくもり」…あの~。原題に「love」なんて入ってるのこの中で1曲しかないんですけど。たぶん当時の洋楽部門担当者が「アイドルっていったら恋でしょう!」みたいな感じで決めたんだろうね。

 

ここに挙げた写真は、私の持ってるベスト盤の、実は裏ジャケ。これどこで撮ったんでしょー。おかしすぎるのでこっちを載せてみました。ちょっと小さくてわかんないかもしれないけど、メンバーが着てる半被の衿には「福禄」の文字があり、真ん中のピーター・ヌーンの半被だけは「組頭」。たしかにあんたがバンマスだ!

 

*「THE BEST OF HERMAN’S HERMITS」