今年3回目のフライダーズのライブ!大好きなバンドのライブを2か月に1度観られるなんてしあわせすぎる。ちなみにチラシ画像などでイベントタイトル「vol.3」と書かれていたけど、実はvol.4だったみたい(去年の3月たけとんぼを迎えて開催したときがvol.3だった)。試聴室に着いたら、いつのまにか入口ドアが新調されててちょっとびっくり。
FRYDERS Presents
「Time Between vol.3」
神保町試聴室
2023年5月27日(土)
開場 18:00 開演18:30
予約 2,000円+1Drink
当日 2,500円+1Drink
出演:生形拓人(Band Set)、フライダーズ
■生形拓人さん
私はまったく初めましての生形(うぶかた)さん、バッドセットにて。ドラムの女性と、ギター、ベース、ギターというメンバーがセッティングしていて、この前方3人のどの人が生形さんなんだろう…と考えつつ開演を待つ。ギュインギュインとギターの音出ししていた下手のキャップのお兄さんか(譜面の表紙に「生形くん」と大きく書いてあったので第一候補)、真ん中でベースを担いだ男性か、と眺めていたら上手にいたポロシャツの爽やかな男性が生形さんでした!(キャップのお兄さんの譜面の「生形くん」は自分のことを指してるのじゃなくて「生形くん用の譜面」ということか~。笑)アコースティックギターをかき鳴らしながら歌い始めた生形さん、素朴な味わいもあるフォークロック。と思ってたら、何曲めかでバンドが勢い出してきて急に轟音オルタナになったので思わず笑っちゃった!主に、キャップのお兄さんのギターのせい(笑)!(セッティングの音出しからその予感してたけど)音そのものからノイズの出し方まで超~好み!淡々と歌う生形さんとのコントラストもおもしろくてよかったなー。超すさまじいギターロックだった、こんなの聴けると思わなかった。なんとこのサポートギタリストこそ(夏秋さんが録音を担当しているというので名前は耳に入っていた)金魚のせきねたくやさんだったらしく!え、金魚って幼稚園や保育園などで活躍されてるユニットなのでは!?それらの情報と眼前のギターの音との整合性が取れず脳内混乱(笑)。やーカッコよかったー!
生形さんと今日のサポートメンバーとフライダーズは、新宿のカールモールというお店でよく演奏をしていた知り合い同士だそう。あとの佐藤ユウキさんのMCによると、そのときのせきねさんとの縁から夏秋さんともつながったようなこと話してた。なるほどー。生形さん、終始ニコニコ笑顔で楽しそうに歌われてたのが印象的。ちょっと寂しげなところが心に残る曲たちとバンドの息の合った演奏、とってもよかったな~。
<生形さんがSNSに上げてくれていたセットリスト>
1.just a moment
2.お前が心
3.天狗の唄
4.無題
5.赤星
6.car number 4
7.花の子ら
8.うみざばざーん
9.you
■フライダーズ
後攻フライダーズ!この5人がステージに上がって楽器の準備を始めるだけでもう期待が高まってくらくらしちゃう。キーボードのみんみんさんは今日昼間のヘンリーテニスからのダブルヘッダーと聞く、おつかれさまですー。ゆるゆるっと始まったのは、たぶん前回ひかりのうまでも最初に演奏した新曲。ジャムりながら入っていく演奏、まるではちみつぱいの「こうもりが飛ぶ頃」みたい。今この匂いと手ざわりを出せるバンド、すごいよ…。それを生で聴ける2023年の私もしあわせだ。そしてこの曲、前回聴いたときも感じたけど、やっぱり青木さんのギターとみんみんさんの鍵盤が果たし合いのようだ…!と思う。フライダーズ、メンバーひとりひとりはとっても控えめで温厚そうなのに、音はみんな頑固で気が強くてたまらん。
それにしても青木利文さんのギター、いつもながら最高オブ最高すぎるな…。毎回同じこと思ってるけど、この若さのギタリストが、どんな音楽体験を経るとこんなアーシーで滋味にあふれたギターを弾くことになるのか、不思議でたまらない。試聴室の壁にLast Waltzの大きなポスターが貼ってあるのだけど、そこに混じっててもまったく引けを取らないと思える音なんだものな…。
「Long Time Ago」や「春になれば」…佐藤ユウキさんのしっとりとゆらぐ魅力的な声に重なっていく青木さんとみんみんさんのコーラスもとても素敵…。この日、セットリストのせいか?佐藤さんのギターのせいか?なんとなく“神保町っぽい”フライダーズと感じたな~。これも前回のひかりのうまで披露された新曲、聴きながら「サザエさんみたいだ~」と思ったけど、そうだタイトル「夫婦善哉」だった、まさにだ!
わりと軽やか寄りと(私が勝手に)感じたセットリストの中で、ヘビーでダークな「線路沿い」、そして「境界線上」、たまらないよさだったな…。「線路沿い」は、私の浅いフライダーズ歴(ライブ6回目)の中で、もしかしたら初めて生で聴いたかな?めちゃめちゃよかった、青木利文さんのギターソロ、どっから鳴っててなんちゅー凄い音してるんだ!?こんな音に抗える理性は私にはないです…。
それにしても…フライダーズの音を聴けば聴くほど、佐藤ユウキさんの楽曲や歌、青木さんのギターとみんみんさんのキーボードももちろんだけど、そいたまさんのベースとタミオさんのドラムが、バンドの音を支えてるな…と感じる。例えばタミオさんの饒舌ではないあのドラムの一音に、どれだけの多くのものが凝縮されてるか。今日も目の前で聴きながらしみじみそう思った。フライダーズの世界を満たすなんとも言えないゆらぎや湿度は、このドラムとベースの音によるところも大きいのではないかな…なんて思ったり。バンドの、とっても大切な部分。
「線路沿い」も「境界線上」も、一見そんな派手さのない曲なのに、ここに佐藤ユウキさんが込めた果てしない音の理想を、つかみとって素晴らしいにもほどがある演奏で驚くべき到達点へと昇華するメンバーの思いの強さと技量の凄さよ…。こういうメンバーがいてこその、フライダーズの音なんだよなあ…。当たり前だけど、楽器がうまい人なら誰でもいいわけじゃないんだよ。私の好きなバンドみんなそうだけど、“こういう音を作りたい”という強い志や理想があって、そうした音を一緒に出せる人を諦めることなく求め続けてこのメンバー(サポート含む)になっているのだろうな…と思う。そういうバンドの闘いの延長上で、私が、こんなに大好きな音を受け取れている。貴い…。
ラスト「ジメジメジトジト」。サビ前のコーラスに突如爆音でぶっ刺さってくる青木さんのギター、いつもながら最高。さらに客席の拍手でアンコール(ここで「予定外」な顔をするのが苦手な正直なフライダーズ…笑)、「最高の夜」。フライダーズ、ほんとにサイコー、大好きだ…。
私は音楽が好きだけど自分では楽器を弾けたり曲を書けたりしないから、“理想の音”はいつも自分の外側にあって、出会うまではそれがどんな姿かたちをしているのかも自分ではわからない。そんな「これだ!」と思う運命的な音がリアルタイムに存在していて、こうして生で聴くこともできるなんて、本当にありがたく稀有なことだなーと思う。これからもなるべくたくさん、そしてずーっと、フライダーズの音楽を聴き続けられますように!
<フライダーズ公式よりセットリスト>
01.迷い鯨(新曲)
02.Long Time Ago
03.春になれば
04.やさしい雨
05.夫婦善哉(新曲)
06.線路沿い
07.境界線上
08.ジメジメジトジト
(アンコール)
09.最高の夜
この日、帰り際に、客席にいらした夢見る港の長坂さんやなみきさん、あと、夏秋さん(いらしてたの知らなかった~)ともちょっとお話しできてドキドキでした…。素敵なライブを企画・開催してくれたフライダーズと生形さん&バンドのみなさん、ありがとうございました!