月夜のドライブ

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西村哲也+MARCY'S HOTEL @ 吉祥寺MANDA-LA2

画像この日も西村バンドは凄かった…。もうね、最初のたった3曲で、優にライブ1本ぶんぐらいの衝撃はあったもん…。これは誇張でもなければレトリックでもない。とてつもなく密度の高い演奏を、リスナー力のすべてで受けとめる体験。破壊力ありすぎて、3曲終わったところで息も絶え絶え…。なんという法外な質と量が、このバンドの演奏には凝縮されてるのか!新曲がすばらしかったし、ひさしぶりの曲の演奏がまたよかったー。言葉にするのはどう考えても不可能なんだけど、感想メモ、書いときます。

 

西村哲也+MARCY'S HOTEL

10月4日(日)
吉祥寺MANDA-LA2
開場:18:30/開演:19:30
前売:2,000yen/当日:2,300yen (ドリンク別)
MARCY'S HOTEL
Bass 大田譲(From CARNATION)
Drums 夏秋文尚
Keyboards 伊藤隆
Violin 美尾洋乃

 

■オープニング 

だってね、1曲め、イキナリ「砂のコリン」だもん!うわ…そんな無茶な…!心の準備も何もないこちらの都合なんかおかまいなしに投下される、ベースとドラムスとピアノのエロティックなイントロ。そしてギターとヴァイオリンの甘く危険なフレーズ。さらに、5つの楽器が少しずつ熱量を帯びつつテンションを上げ、嵐のような激しさで絡み合っていくクライマックス。うわ、ダメだって…、いきなりそんな…。待ち合わせしたその場所でイキナリ口説き落とすような、そんな反則ぎみのオープニング。これは…1曲めに「砂のコリン」は、あまりにヤバイって…もう…。

 

2曲め、夏秋さんの「ダンズタンッタンッ、タンタンッ」っていうセカンドライン・リズムのフレーズが入ってきて、あ、これは前のライブで演ってくれた新曲「グラスマン」だ!スケールの大きいドラム、ブンブンいうベース、ホンキートンキーなピアノ、ドラマティックに鳴るフィドル(うん、ここはフィドルと呼びたいね)、そして炸裂するスライドギター!カカカカッコイイーーー(泣)!西村さんのルーツ・ロック・サイドがもうもうと土埃立てるじつに爽快なナンバー。ああ、これ早く音源で聴きたいなー。

 

さらに3曲めに「スノーバード」って!もうこれどうすりゃいいのか…。この日の「スノーバード」、すごくよかった。身の毛がよだつほどほんとにほんとによかった。何しろあのイントロの気味悪いインプロビゼーション、最高!ドラムも、ベースも、ピアノも、ヴァイオリンも、ギターも、各自各様なんちゅーおっそろしい音を出すんでしょうか。そこから西村さんのギターがすっと抜け出してメロディーをなぞり始め、各楽器がふわりふわりとそこに身を沿わせていく感じ、うー、たまらん。ほんとに凄い音してたなあ、どの楽器も。こんなおっかなくてイッちゃってる音像描くバンド、いまどきそう見当たらないんじゃないかな。プログレッシヴにもほどがある。

 

もうね。この最初の3曲で瀕死の状態。ヤバかったです、相当…。でもおそろしいことに、この日の西村バンドは最後までこのテンションだった。

 

■中盤

中盤がまた凄かったのだ…。何曲かやったところで美尾さんが抜け、おなじみ大田さんボーカルコーナー。「すいません、今日いちばんデカイ音かもしれないです(笑)」という大田さんのMCで、カーネーション「なにかきみの大切なものくれるかい」!問答無用のドカドカロックンロール、かっけーーー!!大田さんがボーカルで西村さんがギター&コーラスでドラムは夏秋さんでと、ベース以外はカーネーションとぜんぜんちがう構成なのも見ててすごく不思議なんだけど、カッコよかったー。ラスト、このバンドには珍しく「ジャーッジャ!」ってキメキメなフレーズで終わっちゃってB'zみたいだったよ(笑)!思わず「うわ、カッコイイ…!」って声出ちゃった(笑)。

 

さらに次の新曲「ゴースト」!これがまたよかった…!個人的には本日のベストワン、ぐらいのよさだった。西村さんが冗談ぽく「ディスコに挑戦してみます(笑)」なんて言い、え、ディスコ!?って客席が面喰らってるところに、えもいわれぬ魅惑のリズムギター。あーなんていう音色してるんだろう、西村さんのギターって。もう、トロットロにとけちゃいそう…。フィリーソウルのように甘くメロウで、不思議なコード感が胸を撃ち抜くようにせつなくて、メロディメーカー・西村哲也の真骨頂、を見せつけるナンバー。マイッた…。この曲のことは西村さん、後日ご自分の日記のコメント欄で「ディスコを狙ったわけじゃないんだけど、デビッド・ボウイのようにしたかったんですけどね」と言ってたから、バンドでやってみたら意外な感じになった、のかもしれないけど(笑)。何にせよまちがいなく名曲。これも早く音源で聴きたい!

 

ライブでやるのははじめてだという「ウォーター・ガン」。なんでも、このあいだカーネーションの京都ライブに西村さんがゲストで出たときに、矢部さんがこの曲をとても好きでいつかいっしょにやりたい、って約束したそう。「だから先に自分のライブで演っておけば大田も練習するしと思って(笑)」今日のナンバーに選んだそうです(笑)。やー、これまたカッコイイのなんのって!西村さんっていい曲書いてるよなーと、今さらながら驚愕した。こういう、ライブでやっていない名曲、西村さんたくさんあるよね。アレもコレも引っ張り出して演奏してほしい!

 

この日、私が何に釘付けになったって、西村さんの、それもリズムギター。あの、何かが取り憑いちゃったようなクレイジーなソロがいいのはもちろんだけど、西村さんのリズムギターの音色ってなんて深くて甘くて複雑で魅惑的なんだろう…と、うっとりすいこまれるように見てた。グレイトフル・デッドで弾くボブ・ウィアーの音みたい、と思ったりしながら。「ひまわり」のギターの音なんてね~、たまらないよね。

 

■後半~アンコール

「ロスト・サンデー」の、昼下がりの陽射しのようなやわらかいバンドサウンド。ライブで聴くのははじめてかも、の「月の子馬」のすさまじくブルージーな音。新曲やひさしぶりの曲のどれもがすごくよかったのは、このバンドの充実ぶりを表してるのかもな~、なんて思った。もともと巧者揃いのメンバーが、ほんとの意味でバンドとして駆動しはじめると、こうなるんだなって。

 

本編ラスト「エレクトリック・ラバー」、こんなに軽快に始まるクセして、気付くと楽器どうしの格闘技・無制限一本勝負みたいになってる、おっそろしい!西村さんのギター、笑っちゃうぐらいすごかった!弾いて弾いて弾き倒してそれじゃ足りなくてギターじゃないとこまで弾き尽くすようなギター(どんなだ)。でも途中のメンバー紹介ソロ回しは相変わらずみんな二枚目半な感じでかわいかったけど(笑)。

 

アンコールの「HEY HEY」の熱さ!あのサビ前のフレーズのカッコよさ!西村さんはギター弾きながらステージ走ってた(笑)!聴くほうも、もう砕け散った。はあ~…。最後、美尾さんとふたりで「CANDY」でしっとり終わり、それでも拍手はやまなかったのだけど、再度出てきた西村さん「もう体力が…(笑)すみません」と。そうでしょうそうでしょう、こんなライブ見せられたら、もう客席は大満足ですとも!

 

■感想

やー凄かったなあ。西村哲也マーシーホテルの演奏、1曲1曲が語り尽くせないほどのドラマに満ちてる。それぞれにエキサイティングな起伏と緊迫感を持った音が、絶え間なく位置を変えながら、いろいろな組み合わせで押したり引いたり近づいたり離れたり絡んだりする。この複雑なアンサンブルを目の当たりにするのは、なんとも他では味わえない恍惚。またこのメンバーが好む音っていうのがね、ほーんと気味悪くて最高なのです。あの「スノーバード」みたいな音が聴けるバンド、今ほかにあるかなあ?

 

西村哲也ばっかり20曲近く。ワンマンはいいなー、大満足!MARCY'S HOTELというバンドも、西村さんのギターと歌も、西村さんの作る曲も、見るたびに深化してる気がする。まさに乗りに乗ってて止まらない感じ。一刻も早くまたこのバンドのライブ観たいなーーー。その前に、今年中に出すつもりと言ってたアルバムが先かな。この日演った「グラスマン」も「ゴースト」も入るんだろうか、ああ激しく楽しみ!!

 

*セットリスト(終演後、西村さんのマイクスタンド脇にあったリストを写メさせていただいちゃいました)

01. 砂のコリン
02. グラスマン
03. スノーバード
04. 牛の群になって走る
05. グレートフルハウス養老院
06. なにかきみの大切なものくれるかい(Vo.大田譲) 【06~08はたしか美尾さんなしの4人で】
07. ゴースト
08. ウォーター・ガン
09. GOOD BYE
10. ひまわり
11. キッチン・ミュージック
12. ポーボーイ【美尾さんと2人で】
13. ロスト・サンデー
14. なんでもいい
15. ウォーターメロン砦
16. 月の子馬
17. エレクトリック・ラバー

(encore)
18. HEY HEY
19. CANDY【美尾さんと2人で】

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