月夜のドライブ

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西村哲也『ハンナと怪物達』発売記念ライブ@吉祥寺MANDA-LA2

画像このバンド、やっぱり、はっきりと、「最強」でした!もう、今思い返しても鳥肌…。特に、前半の「砂のコリン」と、後半の「HEY HEY(赤い汽車に乗って)」は、おっそろしい演奏だった。いくら腕利きミュージシャンが4人揃ったからといって、ここまで想像を絶する演奏できるもんだろうか。「HEY HEY」の途中、4つの楽器が一瞬の目くばせから、ガッと絶妙な間合いで結び合って雪崩れていく、その瞬間のカッコイイことったら!!!!あー音楽ってスゴイーーー(泣)!これこそ、音楽の究極の恍惚、だと思う。ああ…。

 

2007/05/20 Sun
西村哲也『ハンナと怪物達』発売記念ライブ
@吉祥寺MANDA-LA2
Support Member:
Bass 大田譲(From CARNATION)
Drums 夏秋文尚
Keyboards 伊藤隆
ゲスト:
ACKY(面影ラッキーホール)

 

あらためて昨日の夜のセットリスト書き出してみると、ものすごくたくさんの曲を演ってくれてるのだけど、ライブをその場で聴いている感触では、「あっというま」のできごとだった。もう1曲1曲の濃さと熱さが尋常じゃなくて、その場で倒れないように身を支えてるのがやっとなんだよね…。

 

■バンド

もうどこから書いたらいいかわからないんだけど。夏秋さんのドラム、ほんとに凄かったよーーー(泣)。音、ありえないぐらいデカイし!つい1週間前のジャック達でもそのあまりの爆裂ぶりにブッ倒れたばっかりだったけど、ニューベリーのこじんまりしたドラムセット(それであの音が出るのも驚愕なんだけど)に比べて、フルの昨日のセッティングでは、使う空間が広いぶん夏秋さんのアクションが大きいんだよね。もーそこにうっとり…。いつものように右斜め下に顔を傾けてつまんなそうに(本人的にはそういうときすごくノッてるらしいですが)叩くしぐさとか、そうかと思うとふっとスティックを左から右へと大きく切らせてシンバルをシャーンと叩くダイナミックな動きとか、ひとつひとつが必殺すぎる(泣)。私が世界でいちばん好きなあのスネアの音、色っぽいリムショットの音、見ために似合わないほど派手に鳴るシンバル、繊細かつ大胆なハイハット使い、あーもうほんと夏秋さんのドラム、1から100まで好きだ…。なんだか、ここ最近の夏秋さんのドラム、無敵な感じさえする。それは、そのドラミングを引き出す西村さんや一色さんの曲の手柄でもあると思うのだけれど。

 

…と、ゴメン、夏秋さんばっかりじゃなくて、ちゃんと大田さんや伊藤さんやもちろん西村さんも見てたよ(笑)!っていうかね、もうひとりひとりのプレイがすごいから、ずっと見てたいの、どの人も!伊藤さんのキーボードだけ、大田さんのベースだけ、西村さんのギターだけ、夏秋さんのドラムだけ、それぞれ2時間ずっと見ていたいぐらい。個々の楽器が、それだけ奥深いんだよね…。それが集まって一気にスピーカーから放たれるわけだから、…大変、もう。

 

■第一部

前半の私的クライマックスは「砂のコリン」。これ、ヤバかった…ホント。伊藤さんはこの日ステージの向かって左に位置していたのだけど、この曲のとき、いつもの赤いnordのキーボードと、それと90度にセッティングされた生ピアノの両方に手の届くような座りかたをしたので、「え、同時に使うの…?」と思ったら、そうだった!途中から右手はnordの上でサイケデリックな音を、左手は生ピの鍵盤の上に落ちうつくしく繊細な旋律を…。伊藤さん、見ためはあんなおとなしそうなのに演奏がいつも破壊的に凄すぎるーーー(泣)!そしてこの曲が駆けのぼっていくその場所の、おっそろしい景観。大田さんの太くうねるベース、西村さんの時になまめかしく時に吠えるようなギター、夏秋さんの壊れそうなぐらいアグレッシヴなドラムの叩きっぷり。ああほんとすごかった…。こんなのゼッタイ言葉じゃ伝わらない。

 

「スノーバード」も毎度いい演奏が聴ける曲だけど、やっぱ大好きだ。イントロ、ギターもドラムもどろどろと気味悪くていいなあーーー(もちろんホメ言葉)。これ聴いて思ったけど、このバンドのインストもライブで聴きたいな、切望!新譜の最後に入ってる「京都アンダーグラウンド」(←大好き!)みたいなの演ってほしい。元曲をこれでもかって延ばしに延ばして20分、みたいなスリリングで気持ち悪くて寒気のするような(ぜんぶホメ言葉ね)インプロビゼーション、このバンドで聴けたらな~。たぶん、うっとりしすぎてこっちの世界に帰ってこれなくなると思うけど。

 

そしてこの日も出ました大田さんボーカル曲。昨年12月にも演ってくれた「Strange Days」。ほんと大田さんの歌って、本人の印象とギャップありすぎだろう!ってぐらい、甘くて繊細だよね(←余計なお世話)。ステキ…。西村さんのコーラスがまた、いいんだー。この曲のあとのMCで西村さんが「これ演るの、直枝さんには承諾とってるんですか?」大田「あー、去年のときはメールしたけど今回は言ってない(笑)」とか、大田「昨日カーネーションの録音があったんだけど、このリハーサルがあったから出ませんでした」西村「俺が直枝さんに怒られるじゃん(笑)!」とかいうやりとりがおかしかった。

 

私の大好きな、ストレート・ロックチューン「幸せな人生」、相変わらずかっけーなーーー!「牛の群になって走る」の、もうもうと土ぼこりが立つようなアメリカンな音、これをこんなにカッコよくキメられるミュージシャンも日本にそうはいないよね。新譜の曲は意外に少なかったんだけど、第一部最後に「グレートフルハウス養老院」やってくれて、枯れたユーモアがたっぷりのこの演奏もよかったなー。個人的には夏秋さんのスネアにブッ倒れる。うーこの音、好きすぎる…。

 

■第二部・ACKYさんゲストコーナー

で、休憩はさんで第二部。最初に西村さんひとりの弾き語りで「夢の禁じられた遊び」「キャンディ」。西村さんの、フレットの上の繊細な指の動きをうっとりと見つめながら聴く。しっとり2曲が終わったところでバンドが入り、さらにゲストのACKYさんfrom面影ラッキーホール、登場!うははは、ナマで初めて拝見しましたが、噂どおりのえげつない外見(もちろんホメ言葉)!!すっげーなーーー(笑)、でっぷりした体躯にピチピチのピンクのTシャツ(ジョン・レノンとお揃いらしい・笑)、その上にピンクのスカジャン、腰まで落としたピンクのジーンズに「ACKY」のラインストーンが輝くピンクのベルト、ピンクのサングラスにピンクのベレー帽。悪趣味もここまでいくとむしろ…いや、悪趣味だな(笑)、おっかしー。で歌い始めたのが「朝まで待てない」、モップスのカバー。♪今すぐ会いたい~!♪シャウトするACKYさん、悪趣味だけど(笑)カッコイイ!終わってMC(見ための割に朴訥)で、西村さんに「ふだんはそんなぬいぐるみたいなカワイイ感じにしてるくせに…」とかツッコんでて、困る西村さんがおっかしかった。もっとたくさんやるのかなと思ったら2曲きりで、「ほっといたらこのバンドでは絶対やらなそうな俗っぽい曲をやります」(笑)と、「ほんまに~♪来てくれたんやね~」とかいうベッタベタの大阪弁の歌(トミーズ雅さんの「いじめやんといて」という曲みたい)。あーこのバンドでこんなの聴けるとはレアだ(笑)。おもしろかった~、ACKYさん。あそうそう、面ラホは今年フジロックに出るそうで、もちろんサポートギタリスト西村さんも!だそうですよ。

 

■第二部のそこから先

そっから、ACKYさんのパフォーマンスの熱さに負けじとばかりぶちかまされた「なんでもいい」の爆裂ぶりが尋常じゃなかった!うっわーーーたいへん。ヒートする西村さんのギター!ブオンブオンとバンドを煽るかのような大田さんのベース!夏秋さんは涼しい顔して、もう常人には把握できないようなドラミングになってるし!伊藤さんは坦々と、おそろしい鍵盤の音の山を築きまくってるし!ほんとどうなってんだ、このバンド…。

 

やーでも、この日のクライマックスはやっぱり「HEY HEY」に尽きるかなあ!西村さんのリズミカルなギターに誘われるように、ドラム、キーボード、ベース…と次々音が重なっていく飄々とした調子のオープニングもえらくカッコいいんだけど、そのまんま軽い気持ちでこのバンドについてくとおそろしい場所まで連れてかれちゃう。それまでそれぞれ自由奔放に鳴ってた4つの楽器の音が、一瞬の息のもとにヒトカタマリになってバンドの総重力をかけてぶっ放される、あのフレーズ!そんなの、もう無傷で帰れるわけないです…(泣)。なんかこの曲での夏秋さんのドラム聴いてて、ヘンな表現だけど、ものすごく敏捷な重戦車みたいだと思った…。しなやかな身のこなしと重いドライヴが共存してる。ちょっとありえないぐらいのおそろしいドラム。

 

最後が「エレクトリック・ラバー」だったのだけど、この間奏でのメンバー紹介がメチャメチャおかしかった。西村さんが間奏で「ドラム、夏秋文尚~!」とコールしたら、立ち上がってペコリと頭を下げる夏秋さん。うははは、その礼儀正しいアンチ・ロックアーティストっぷり(笑)!そしたら次の大田さんも深々とお辞儀(笑)。その次の伊藤さんに至っては、バンドの音がいったん完全に止まっての敬礼に(笑)。わははは、ふつうはメンバー紹介、ソロとか弾くでしょ、ソロとか(笑)!各自お辞儀ってどんなロック・バンドなんだよ、茶目っ気ありすぎ、もう(笑)。

 

アンコールは、「バンドのレパートリーは全部やり尽くしたので」ということで、西村さんひとりの弾き語りで「夕方の歌」でした。うん、もう大満足…。

 

■後記

はー。もう、凄かったな。またしても粉々、カラダのひとつ残らず破片になった…。それにしても、このバンドの音に対峙すると、「バンドサウンド」の在りかたがあんまり素晴らしすぎて、そっちを全身で受けとめるのでせいいっぱいになっちゃう。もしかすると歌を堪能しきれてない気もして、それについてはゴメンなさい~。ライブでこんなバンドをバックに従えることができる「ボーカリスト西村哲也」は、最高にシアワセだけど同時に最高にタイヘンかもね。ベースもドラムも音、デカイし(笑)。あーあと、西村さんのギターのことあんまり書けてない気がするんだけど、これはもう、20年前からデフォルトで「運命の音!」だからなあ…。西村さんのギターの音を聴くって、かなり自分の人生を内側から確認するような体験でもあるんだ、個人的に。

 

このバンド(…そうそう、大田さんもMCでちょっと言ってたけどこのバンド名前つければいいのにね!西村哲也とアンダーグラウンズとか、西村哲也とハッピーフラワーズとか、西村哲也とスイートデビルズとか…いや、適当ですが・笑)のライブ聴けるって、今の私にとって、ジャック達のライブとともに、考えうる限りの最高のシアワセだなーーー。京都在住の西村さんが東京でバンドライブ組むのってなかなか大変だと思うけど、1年に1回といわず、ぜひまたすぐにでもやってほしいです!

 

 

書ききれてないことたくさんですが、それはまた。西村さん、バンドのみなさま、ほんとによくもまあ毎回おっそろしいライブをありがとう!

 

 

*セットリスト、不正確かもですが

【第一部】
01 GOOD BYE
02 ひまわり
03 キッチン・ミュージック
04 砂のコリン
05 オー!ベイビィ
06 スノーバード
07 Strange Days(vo.大田譲)
08 幸せな人生
09 牛の群になって走る
10 グレートフル・ハウス養老院

【第二部】
11 夢の禁じられた遊び(西村solo)
12 キャンディ(西村solo)
13 朝まで待てない(vo.ACKY)
14 いじめやんといて(vo.ACKY)
15 なんでもいい
16 ストロベリー・ブルーズ
17 ウェーターメロン砦
18 HEY HEY(赤い汽車に乗って)
19 エレクトリック・ラバー

【アンコール】
20 夕方の歌(西村solo)