月夜のドライブ

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グランドファーザーズ @ 吉祥寺ROCK JOINT GB

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GRANDFATHERS@吉祥寺ROCK JOINT GB
出演:青山陽一(g,vo)/西村哲也(g,vo)/大田譲(b,vo)/夏秋文尚(dr)
2009/9/6(日)
OPEN/START:18:00/19:00 ADV./DOOR:4,000円/4,300円 (+1DRINK ORDER)

 

私にとっては、1月の京都拾得以来、今年2度めのグランドファーザーズ。前回も今回も、私は前日のアコースティックライブには行けなかったのだけれど、それにしても2009年になってこんなにグランドファーザーズのライブがあるなんて、ファンよりもメンバー自身が驚いているんじゃないかな。もちろん、彼ら自身が「やりたい」と思っての活動だとは思うけれど、それ以上に、「いいバンドのいいサウンドが聴きたい!」という、音楽ファンの思いのうねりみたいなものが、今、グランドファーザーズをステージに呼んでいるような気がするんだよね。

 

それは、この日、開場前のGBの階段にできた長い列を見ても感じた。「グランドファーザーズってこんなに集客力のあるバンドだったっけ?」って、正直ビックリしたもん。80~90年代の活動期にも、こんな列ができたの、覚えがないなって。そして私がもっと驚いたのは、会場にぱんぱんに満ちた熱気、高まり、期待感が、まぎれもなく「グランドファーザーズ」に向けられたものだったこと。青山さんだけ、西村さんだけ、大田さんだけ、を観たい人たちの集まりだったら、ぜったいあんな空気にはならない。みんな、明らかに「グランドファーザーズ」を、待ってた。

 

その、ギリギリまで膨らんだ熱気の風船がぱーん!とハデに炸裂するような、4人がステージに現れた瞬間の歓声のスゴさ!!ちょっとメンバーもビビるぐらいの(笑)。ほんとにすごかった!東京のワンマンライブも10年ぶりということだったし、そう、みんな心からグランドファーザーズを観たかったんだよね…!

 

■前半

1曲め、彼らのテーマ曲といってもいいTraveling Mood」。イントロ、カッコよすぎでしょ!そう、これ、このグルーヴ出せるバンドは、やっぱりグランドファーザーズしかいないんだよね…!はー…。それにしても、なんど見ても、青山陽一西村哲也という別方向にブッ飛んだ2人のギタリストと、大田譲という強力にもほどがあるベーシストが同じバンドにいることが凄すぎる。これを奇跡と呼ばずしてなんと呼ぼう…。

 

続く2曲めが!「石のうさぎ」だよ!うっわーーー(倒)!!!!あとから気づいたんだけど、じつはこの曲、ものすごくひさしぶりの演奏だったのでは?1月の京都でも、08年の赤坂でも、07年のメトロトロンライブでも演ってないよね?あの西村さんのとんでもなくブチ切れたイントロ!この日の西村さん、ひさしぶりにテレキャス(黒)で、ひたすらすっげえ音出してたなあ。ギターに専念できるグランドファーザーズのときは、西村さんの壊れ度がハンパじゃない。また西村さんの音と交錯する青山さんのギターが怪奇でよくってねー。ああ、好きすぎる!

 

曲間のMC中にほんのちょっと出たギターの音色だけで「あ、次『ないしょの茂みにて』だ!」とかわかっちゃう私、高校生かっちゅう…。このメロディ、このギターの音、このハーモニー、あいかわらず私を底から引っ掻き回す…。この日、演奏もそうだけど、3人のハーモニーがすごく冴えてた。CS&Nみたい。「二つの魚影」「最後のスモーカー」、西村さんのギターの音がとろーんと甘くって。もうこのあたりは、2000年代グランドファーザーズの強みという感じ。オトナの演奏にうっとり。

 

■中盤

ここで西村さんのソロナンバー「Good Bye」。それまでわりと淡々と演奏していた夏秋さん、このあたりから本格的に火が入って、どんどん熱っぽくなっていく感じだった。京都のときもそうだったと思うけど、西村さんのソロ曲で、ギターソロは青山さんが弾くという、このシーンがなんかよくってねー。メンバー間の信頼の深さを感じる。そしておなじみ大田さんボーカル曲コーナー、いつもは(前日の黄金町でも)カーネーションの曲を演ることが多いのだけど、この日は小坂忠さんの「ほうろう」のカバー。放埓な感じがとても大田さんらしかった。

 

「Wild Friends」も不思議な曲だよね。ニューウェーヴっぽさと泥臭さ、両方を併せ持つグランドファーザーズの、ヘンな魅力がよく出てる。京都のときは少々ボーカル不調だった青山さん、今日はキレがあって絶好調だったんじゃない?で、すぐ続けて次の曲、のはずが、ぜんぜん始まらなくって、あれ?と思ったら、青山さんも大田さんもあれ?って感じで左のほう見て、そこで西村さんが「あ…!」と気づいたの、おっかしかったー。西村さん始まりの曲だったのに、曲順間違えてたって(笑)。で西村さんのギターのカッティングが入り、「White Steam」!!今のグランドファーザーズが演るこの曲の、奇怪な凄み。

 

「Shoot My Eyes」。青山さんと西村さんがせーので息を合わせて奏でるイントロのすばらしさったらなかったな。間奏もアウトロも、ひたすら2つのギターの音がすばらしい。よく青山さんがグランドファーザーズに関して、“年齢を重ねてきたからこそ出せるもの”が増えている、という意味の話をしているけど、こんな演奏ができるんだったらそりゃ今こそグランドファーザーズやりたいよな~!もう、グランドファーザーズ以外の人だってグランドファーザーズやりたいだろうと思うよ…。

 

青山さんが去年このバンド用に作った新曲「Underground」は、タイトルと裏腹な開放感がきもちいい!さらに「Baby Fields」、もうこの演奏とかねー、すごい。ギター2つとベースとドラム、それぞれの複雑なストーリーと、その4つが糾われて生まれる骨太な音。さらにアーシーに、西村さんソロレパートリーの「キッチン・ミュージック」。それにしても…、あのころ(と私が言うのは大昔のこと)、日本の若いロックバンドで、こんなスライドギターを弾いてる人たち珍しかったと思う。私も含めた世間が、あのころよりもずいぶん音楽を広く深く知るようになって、やっと彼らの魅力を、(「カントリーテイスト」なんていう取ってつけたような言い方じゃなく)正面から評価できるようになってきたのかも。

 

■後半

ここからラストまではもう圧巻だった!グランドファーザーズの「今」が、とにかく、凄い!「異常な夜、貴重な月」、4つの楽器と青山さんのボーカルが一気に駆け出すイントロの、えもいわれぬ快感。そして3人のハーモニーは結成以来で今がいちばんじゃないかと思うぐらいうつくしく。さらに間奏のクレイジー極まりないフェイク!はぁ~…グランドファーザーズまじカッコイイ…。そこから雪崩れこむように始まった「Cleaning Inside」の、歪みまくった万華鏡のような音!ぐわーーーんヤバイってもう!!赤坂のとき「これってこんなにカッコイイ曲だったっけ?」って心底びっくりさせられて、京都でもますますそう思ったけど、この日もやっぱりこの曲にヤラレたーーー。圧倒的な演奏力が生むとんでもない緊迫感と、黒く濃く渦巻くユーモア。はー…信じられないことが起きてる。2009年の、最新のグランドファーザーズ、最高だ!!!!本編ラストは「僕は火の車」で走り抜ける!

 

この日、ほんとうに客席の拍手と歓声がすごくてね。曲間の、そしてアンコールを求める会場の空気の、熱かったこと!メンバーもちょっとビックリしてたぐらい。こうなったらもうどう言い逃れしようと、この先グランドファーザーズは過去のバンドでなんかいられないね(笑)。それぐらい、彼らの「今」を求める、オーディエンスの気持ちが強かった。

 

■アンコール

アンコールに応えて、まずはメンバー3人がステージに戻って、青山さんが「じゃあ、フォークの曲を」と(笑)、「Slit No.1」。さらに夏秋さんが戻ってきたところで告知タイム。なんかね、これがあらためて不思議だったなあ。そこらのバンドなんか軽く蹴散らすぐらい圧倒的かつ息の合った演奏を繰り広げてる4人が、ふだんはまったく(まあ微妙に重なってたりもするけど)別々のバンドをやってるっていう事実がね。10月の「Drive To 2010」は、グランドファーザーズとシネマが同じ日に出るんだけど、両バンドとも夏秋さんがドラムに入るので、「この日は夏秋くん祭りだね」と青山さん(笑)。(やっぱり名阪に引き続きシネマのドラムは夏秋さんなんだねー。)その夏秋さんは、あいかわらず告知タイムにもほとんどしゃべらず、ジャック達の宣伝はおもに大田さんがしてくれてましたが(笑)。

 

「にんじん」、聴くたび、ますますフリーキーなことになってきてる気がする。昔もこの曲カッコよかったけど、だんぜん、今のグランドファーザーズのほうが上。何、あのイッちゃってるインタールード!気味悪さ最高潮。すげえよ、グランドファーザーズ、どこまでいくんだろう?いちど演奏終えて、大ラス、ダブルアンコールに応えてくれて「流れ星老人」

 

■感想

はー(タメイキ)。どうしよう。恋の悩みだ。グランドファーザーズの存在がそうとうリアルになってきちゃった。これは個人的な感想だけど、05年の西村さんのソロライブで1曲だけ「Traveling Mood」をやったとき、それからメトロトロンライブ、さらに赤坂グラフィティ、そしてこのあいだの京都拾得、そこまでは、グランドファーザーズの「現在形」に驚きながらも、まだ自分の過去と重ね合わせて見てる部分が大きかったと思うんだ(個人的に)。だけど、ここにきて、その分量は逆転しちゃったみたい。この日のグランドファーザーズの音、あまりにもヴィヴィッドな生命感にあふれてた。彼ら自身もなんとなく、「スペシャル」というより「いつものバンド」という感じで演奏してたように思う。けっして多い回数ではないけれど、ここ数年「グランドファーザーズ」として演奏する機会を重ねてきたことが、バンドに油を差してエンジンを調整して、本格的に公道を走り出させたのかも。そうすると、こんなにおっそろしいことになっちゃうんだね。このメンバーが「いつもの感じ」で走り始めると。

 

もうひとつ、この日の演奏を観ていてつくづく感じたのは、大田、夏秋という桁はずれに強靭なリズムがあるからこそ、青山、西村の2つのギターが最大級の自由を得て、あれだけ気持ちよく狂えるんだな、ってこと。気づくと夏秋さんのそばにいつもいつもいいギタリストがいることは、やっぱり偶然じゃないんだよな…。このリズム隊vsギタリストのエネルギーの拮抗は、どきどきするぐらいすさまじい。ヤバいよグランドファーザーズ、そんなのもう無敵に決まってるじゃん…!

 

今のグランドファーザーズ最高にカッコイイな。特に、「石のうさぎ」「White Steam」「異常な夜、貴重な月」「Cleaning Inside」「にんじん」といったあたりのパンキッシュな音が、今の彼らの中でキてる気がする。ああ、またすぐ10月にもこのバンドの演奏を聴けるなんて、すげー。現在形で、このバンドの未来にワクワクできることが最高にシアワセだ!

 

*セットリスト(from 「Trouble Everyday」

1. Traveling Mood
2. 石のうさぎ
3. ないしょの茂みにて
4. 二つの魚影
5. 最後のスモーカー
6. Good Bye
7. ほうろう(小坂忠
8. Wild Friends
9. White Steam
10. Shoot My Eyes
11. Underground
12. Baby Fields
13. キッチン・ミュージック
14. 異常な夜、貴重な月
15. Cleaning Inside
16. 僕は火の車

(encore1)
17. Slit No.1
18. にんじん

(encore2)
19. 流れ星老人