月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

グランドファーザーズ @ 京都拾得

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関東以遠に飛び出した私のはじめての遠征であり、ずっとあこがれていたライブハウス・拾得に足を踏み入れるはじめての機会でもあり、しかもそれが20代のころ大好きだったグランドファーザーズのライブであって、まして解散ライブや90年代の再結成を観れていない身には20年ぶりの彼らのワンマンライブでもあって、まあ仮にグラファンという記憶を抜きにしたとしても現在形でふつうに大好きな青山さんや西村さんや大田さんや夏秋さんが出演するライブである、と!!もうこんなの、興奮するなっていうほうがムリだよね?

 

で今も、あの日自分が巻きこまれた嵐のような興奮からさめやらず、です。まるで夢のようなシアワセな空間だった。そこにいたミュージシャンとオーディエンスのひとり残らずが、心底いい笑顔をしてるような、そんなライブ。音を大事にするってこういうことだよねって、いい音楽を好きでいるってこういうことだよねって、あの場にいる全員が「グランドファーザーズの音楽」を通してうなずきあってるような、そんな見えない信頼感を感じて、じーんとしちゃった…。ほんとにいいライブだった。行ってよかった。

 

2009.1.11(sun) Grandfathers @ 京都拾得
青山陽一(Vo,Gt), 大田譲(B,Vo), 西村哲也(Gt,Vo), 夏秋文尚(Dr)
Open: 17:30 / Start: 19:00
前売: ¥3,000- / 当日: ¥3,500

 

開場時間少し回ったあたりになんとか辿りついた京都拾得。(あやさんツカサさんいろいろありがと…!)店内の独特の雰囲気に気圧されつつ周りを見回したり、あの階段から出演者が降りてくるんだねーと珍しげに眺めたり、何よりも、この場を埋め尽くしたオーディエンスのハンパじゃない期待感をリアルに感じて高揚したりしつつ待っていたら、あっというまに開演時間。

 

■第1部開演

ギターやベース持参で、4人がステージに上がってくる。もう、このシーンが視界に収まっただけで感動。中央に立つ青山さんは始まる前から楽しくてニヤニヤが止まらない感じ。向かって右の西村さんは初の関西ワンマンにちょっと感無量な表情。メンバーのあいだに流れるこの空気感が無条件に好き。いいバンドだなあ…。ゆるっと始まった1曲めは、TRAVELING MOOD」。青山さんと西村さんのギターがうねって絡みあう。大田さんのベースが地響きのように鳴る。3人の声がメロディの上で絶妙に結ばれる。ああ、グランドファーザーズだ…。グランドファーザーズ以外ではありえないあの音が、今、ここで、リアルタイムで鳴ってる…!!!!もう、いきなり泣きそう。

 

2曲めが!このストローク!なんと「WHITE STEAM」!この曲のオリジナルバージョンが入ったオムニバス盤は、カセットに落としてほんとによく聴いてた。はあああ、まさかこの曲を2000年代にナマで聴くことがあるなんてーーー。しかし、あらためて聴いても、すごくヘンで、すごくいい曲だ。こんなの演るの、20年前も今もグラファンしかいない。

 

「2つの魚影」、キレイな曲だねー。じつは私、この曲聴くとちょっと寂しくなっちゃうのだ。『BBB』の中でもその後の青山さんのソロにつながる要素が強いサウンドだと思うんだけど、そのことが、グラファン解散の痛みと(私の中で勝手に)結びついていて…ずっとね。ま、ごく個人的な思い。でも、20年越しのその寂しさは、現在進行形のグランドファーザーズを目の前にしている今、もう手放してもいいのかも。

 

■新曲~前半ラスト

そしてまたしても新曲だって!「最後のスモーカー」って、青山さんあいかわらずけったいなタイトルで…(笑)。メロディもヘンテコだったなー、あきれるほどのグランドファーザーズっぷり。たしかこの曲では西村さんが味のあるスライド弾いてた。この日ずっと、青山さんの曲では西村さんが派手なフレーズを決め、西村さんの曲では青山さんが太い音でソロを鳴らし、という場面が多くて、20年前のギターの分担がどうだったかなんてぜんぜん思い出せないんだけど、相手の曲に茶目っ気たっぷりに踏みこんでいくようにも見えるし、お互いのベストパフォーマンスを支えあってるようにも見えるギタリストふたりの姿に、またじーんとしちゃった。いいバンドだなあ…。

 

西村さんソロ曲の「GOOD BYE」、さらに大田さんボーカルでカーネーション「愚か者、走る」。「愚か者」は、カーネーションのバージョンよりも数倍レイドバックしてたねー。グランドファーザーズの演奏のこの感じって、BM'sともマーシーホテルともカーネーションともジャック達ともちがうんだよなあ…この4人が演ってるのに。昔も今も、グランドファーザーズグランドファーザーズで、やっぱり、その代わりになるバンドはどこにもいないんだ。

 

前半最後は「WILD FRIENDS」。はぁ…、これもどうにもせつなくなっちゃう曲(個人的に『BBB』はだいたいそうなのだ…)。このあたりでメラッとバンドが燃え上がる予感を感じさせつつ、第一部終了。休憩のあいだも、今見た映像・今聴いた音への興奮と、記憶をしっかりつなぎとめておかなきゃ!という切迫感で、なんだかドキドキしっぱなし。

 

■第2部

10分ぐらいのインターバルはさんで第2部。印象的なギターのイントロ…、「ないしょの茂みにて」キターーー!!これに影響されて自分の卒論のタイトルを決めたぐらい(←どうでもいい情報だけど)大好きな歌!それにしても、このヘンな曲のヘンなフレーズをそれぞれに弾きあう、青山さんのギター西村さんのギター大田さんのベースったら最高だなー。西村さんソロ曲で「悲しみのキトゥン」。骨太でアーシーな演奏。

 

昨年3月の赤坂で披露された新曲「Underground」。この辺から本格的にバンドが回りだして、演奏が燃え上がる!(あとであやさんと話したときに「あの曲でトツゼン夏秋さんキタよね(笑)」と意見が一致したんだけど。)さらに、うれしくなるぐらい奇妙な西村さんのスライドの音色が入ってきて、わーーー「Baby Fields」!!飄々とした感じで始まるくせに、悲壮なラストに人を連れて行く約束破りな曲。青山さんと西村さんのギターの絡み、たまらん…。

 

西村さんソロの「キッチン・ミュージック」の後、告知のMCなど。このとき大田さんが、サポートで入っているジャック達のライブ予定とかを詳しくしゃべってたのがおかしかったなー。当のメンバーである夏秋さんはあいかわらずジャック達のこと何も話さないのに(笑)。

 

■終盤

終盤に入って「異常な夜、貴重な月」、そして「CLEANING INSIDE」と、演奏はどんどんクレイジーにヒートアップ!!は~こんなすっごい音出してるバンドほかにいないよー(泣)。終盤のこのあたり、大田-夏秋ラインと、青山-西村ラインの爆発が凄まじかった!何、このありえないGのかかったベース!その遠心力と強靭に引きあうドラムの重い音!そしておそろしい軌跡を描いて行きかう2本のギター!ヤバイ、グランドファーザーズ最高だ…。さらにラスト「僕は火の車」を勢いよくブチかまして本編終了。

 

■アンコール

たぶん時間の関係で、楽屋まで戻らずすぐにステージに出てきてくれた4人。このアンコールが!凄かったーーー!もう、あのイントロを聴いた瞬間ブッ倒れるかと思った…「にんじん」!西村さんのクレイジーなギター、青山さんの破裂寸前のボーカル、この演奏のテンション!!!!しかもこの日の「にんじん」、途中にインターミッションが入るロングアレンジになってて、もうカッコイイのなんのって。ギュンギュン加速つけてドライヴしまくる4つの楽器、おそろしくって鳥肌が立つ!この曲に、グランドファーザーズの未来へのベクトルを感じたなーーー。なんというアグレッシヴな現在形!!!!

 

とどめの大ラスが反則だったもん…。まさかのデビュー曲「流れ星老人」を、何だか泣けちゃうアレンジでさ。わーん…、今のグランドファーザーズ、大好きだよ…。

 

■感想いろいろ(長っ…)

ご本人もその後日記で書かれてたように、青山さんのボーカルは本調子ではなかったし、最後のリハを12月にやったきりのバンドゆえ、演奏も彼ら本来の力からすればたぶん7割ぐらいのゆるい仕上がり。でも、それであの凄い音が出ちゃうグランドファーザーズ、どうよ!?もしこのメンバーがパーマネントにライブをこなし新曲をものすようになっていったら、おそろしいことが起こるだろうな。そりゃもう、イキナリ今のカーネーションタマコウォルズやジャック達を凌駕しかねないバンドになるでしょうよ。で、私は、そんなおっそろしいにもほどがある音楽シーンを、心の底から見たい見たい見たい!!のだ!!

 

バンドっていいなあ。バンドってやっぱり、ひとつの奇跡だよね。この日、青山さんと西村さんのギターが絡みあうのを見ながら、幾度となくそう思ってた。ひとつのバンドに青山陽一西村哲也なんていうギタリストがいて、さらに大田譲のベースがあり、そこに夏秋文尚のドラムスが加わるなんていうことは、もうこれ、個人の好みを超えた全人類級の奇跡と言っていいと思う。アンコールの「にんじん」の、衝撃的なまでのカッコよさが忘れられない。こんなバンド、休眠状態にしておくわけにはいかないワケですよ。あーーー絶対にまたライブが見たい!見れますように!

 

終演後の拾得の雰囲気も、ゆるくてすてきだったなー。ふつうのお客さんが飲んでるすぐそばをさっきまでステージにいたアーティストが行きかってたりして、もう何が何だか(笑)。ネット上でしかやりとりのなかったpopholicさんやめんちかつさんにもはじめてご挨拶できたし、たくさんの音楽好きなかたたちとも会えたし、このすばらしいライブを共有できたシアワセを、みんなが心ゆくまで味わってるようだった。

 

あの場にいられたことは、単にライブを観たというだけの意味を越えて、私の中で宝物みたいな体験になったと思う。ただ1回のライブ、というだけじゃなくて、なんていうのかな…私の中に長いあいだ存在し続ける大切なものを確認するような体験だった。グランドファーザーズというバンドのライブにこれだけの人が集まって、その音楽をいいよねってわかりあってる、そのことは、青山さんや西村さんや大田さんや夏秋さんがカラダを張って切り拓いてきた日本のロックのこの四半世紀を力強く肯定するようなことだと思うし、20年前の私、そばに同じ音楽をいいよねって言いあえる人がいなくて寂しかったけど、この思いを共有できる人や場や時間は、ちゃんとここで待っててくれたんだ、って、そんな気持ち。

 

思いがあふれすぎてとまらないけど、とにかくありがとうグランドファーザーズ!!音楽を好きでよかった、と思える、最高のライブでした!!

 

*セットリスト(thanks for "Trouble Everyday")
(1st set)
1. Traveling Mood
2. White Steam
3. 二つの魚影
4. 最後のスモーカー
5. Good Bye
6. 愚か者、走る
7. Wild Friends

(2nd set)
1. ないしょの茂みにて
2. 悲しみのキトゥン
3. Underground
4. Baby Fields
5. キッチン・ミュージック
6. 異常な夜、貴重な月
7. Cleaning Inside
8. 僕は火の車

<encore>
1. にんじん
2. 流れ星老人

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