月夜のドライブ

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25年目のカーネーション「シュガータウンの荒馬」 @ 渋谷CLUB QUATTRO

画像ちょっと遅いけどカンタンに自分用メモ。金曜日のカーネーション

 

Carnation 25th Anniversary
25年目のカーネーション「シュガータウンの荒馬」
2008年4月11日(金)
渋谷 CLUB QUATTRO
Open:18:00 Start:19:00

 

私にとってはメトロトロンライブからほぼ半年ぶりのカーネーション。ワンマンは06年12月の11人編成「ROCK LOVE」以来。今回たまたま良番チケとれたので、ほんとうに久しぶりにかなり前方で観戦。この近さで、トリオ編成で、音は荒っぽくて、なんだかPHASEとかの小さいハコで観たときのこと思い出したな。ほんとに彼ら、25周年の大御所感なんかどこにもないんだ。いっつでも荒くれてて、メチャクチャで、ヤバイぐらい全力疾走しててさ。

 

クアトロの広いステージに、ドラムセットひとつと、ベースがひとつと、キャンディアップルレッドのギターがひとつ。開演を待っているあいだはスカスカにさえ見えたこのスリーピースのセッティングが、あんなに熱く重く激しく、所狭しと暴れ出すなんて。

 

前記事にも書いたように、私の最初の崩壊ポイントは、早くも4曲めでやってきた。「やるせなく果てしなく」。あの甘くやさしいギターのイントロを聴いた瞬間、いろんなことがアタマの中を一気に巡り始めて。やる果てのPVの中の、淋しさと強さを携えた3人の姿。それまでの、完璧にも見えたバンドを捨てて、一からすべてを始めた彼ら。その決意。ずっと彼らの音から離れてた私を、1年遅れで迎えてくれたアルバムの1曲め。そう、いちばん大変なのは自分たちなのに、いつでも彼らは、こんなとびっきりのやさしいメロディで聴き手を抱きしめてくれる。その強さに寄りかかれることが、どんなに私たちの力になってるか。涙があふれて止まらなくて、ライブ中にこんなこと珍しくて自分でもちょっとびっくりした。

 

さらにキター!「体温と汗」!重たくて狂っててサイコー。「オフィーリア」もグッときた。つくづくすばらしいメロディ。それにしてもたった3人きりでこのぶ厚い演奏は、いったいどうなってんだろう? 私は、3人になってずいぶん経ってからのライブしか知らないのだけれど、そのころと比べても、圧倒的に進化し深化してるはず。スリーピースという相当限界のある編成の中で、今のカーネーションは、尋常じゃない音を出してる。すげーよ。

 

矢部さんのドラムは心底おそろしい。本人は涼しい顔で叩いちゃってるところが輪をかけておそろしい。彼のハイハットの音は芸術の域だな、と思う。なんてきれいなドラミングなんだろう。エリック・クラプトンのギターが「スロー・ハンド」と言われるのは、超絶フレーズを弾きながらも運指がきれいでまるでゆっくり弾いてるように見えるからだって話だけど、それに近いものを感じるよ。何てことない顔してゆったり叩いてるように見えるのに、出てくる音、ありえないほど凄まじいからね。特にライブ後半、ほんとこの世のものとは思えないことになってた。おそろしい…。それと、大田さんのベース。トリオということもあったし、じつはこのあいだのグランドファーザーズのときに、「大田さんのベースってすっげーな…」と(今さらながら)あらためて気付かされたこともあって、この日彼のベースの存在感をいつも以上に感じた。やっぱり、このドラマーとこのベーシストあってのトリオ編成だし、逆に言うと、これほどのドラマーとベーシストを同時に手に入れることができたら、ロッカーはいちどはスリーピースバンドを作ってみたくなるんじゃないかな、ってね。

 

私は90年代後半の彼らをリアルタイムで追いかけられてないし、それ以前に曲自体が大胆にリアレンジされてたりもするから、聴いてすぐにはタイトルが思い浮かばないものも多かったけど、もう、そんなこと関係ないんだよね。知ってるとか知らないとかいつの時代の歌とかもうどうでもいい、カーネーションが、今やりたい曲を今やりたい音で演ってる、そのことに圧倒的な意味がある。「今のオレたち」を表現するセットリストを自在に組めるって、25年も続けてきたバンドだからこそできる贅沢なんだなとも思った。

 

矢部さんがキーボードに入るという、なんだかオトメゴコロ直撃なセットでの甘い2曲もよかった。大田さんボーカルの「なにかきみの大切なものくれるかい」では、歌を譲ったぶん、直枝さんのギターが炸裂してた。前半では固いところもあるように見えた直枝さんのギターとボーカル、この辺から見えないダイナモが駆動し始めて、直枝さん自身も止められないぐらい疾走しちゃってたと思う。後半の直枝さん、ほんとブチ切れて楽しそうだったなー!

 

「REAL MAN」に「GONG SHOW」に「クエスチョンズ」に「モーレツな人 モーレツな恋」に「ダイナマイト・ボイン」だもん、どうしよう!!ほんとに「息つく間もなく」の連奏だった、1曲弾き歌い終わって直枝さんが肩で息してるところに、休む間なんか与えないよとばかりに後ろから矢部さんのドラムが襲いかかってくるんだもん、あれは矢部さんSっ気があるんじゃないかと思ったけど(笑)。前記事でも書いたけど、「GONG SHOW」はまじヤバかった。カーネーションっていうスリーピースバンドのおそろしさをまざまざと感じさせる演奏。この3人は、ここまできちゃってるんだ。特にライブで、このレベルの演奏を3人で繰り出せるバンドは、他にそうは存在しないだろうと思う。何も足りないものがない。たった3人で、この厚み、この密度、この熱さ!ああ、ほんとにカーネーションすごすぎるよ。

 

オーディエンスもサイコーに熱くて、同時にあったかくて。きっと25年間彼らを見続けてきた人もいるだろうし、つい最近ファンになったばかりの人もいるだろうし、私みたいに中抜けのあるファンもいるかもしれない。でも、みんな同じ、なんだ。ただ目の前のカーネーションが好きで好きでしょうがなくて、彼らの音に衝かれて、降られて、揺れてる。アンコールも熱く、それに応えて(たぶん予定外の)3度めまで出てきてくれた。1度めのアンコール、「The Long And Winding Road」は本当に意外な選曲で、「生まれてはじめて歌います」と直枝さん言っていたけど、この後も、もうないんじゃないかな。25年めを迎えたこのポイントで直枝さんは自分の“The Long And Winding Road”の姿をちょっと心に留めておきたかったのかな、と思う。

 

 

はー、タメイキ。なんという2時間半。カーネーション、最高だな。空前の密度と重力でライブを駆ける40代バンド。理論上はありえないものを、ナマで目の前で見てる気がした。ちょっと信じられない。でも、ほんとなんだ。

 

 

この日は、5月いっぱいでいったん閉まって改装となる今のクアトロでの、私にとってはたぶん最後となるライブだった。カーネーションに出合った80年代の終わりから、彼らをはじめ大好きなバンドを本当によく観た、たいせつな思い出の詰まったこのハコでの、最後の思い出がカーネーションのライブとなったことが(しかも、たまたま前のほうで観られたことが)なんだかすごく感慨深かった。ありがとうクアトロ、ありがとうカーネーション、という思い。

 

*もういろんなところに出ているけど、セットリスト~。

01 ROCK CITY
02 学校で何おそわってんの
03 ハイウェイ・ソング
04 やるせなく果てしなく
05 体温と汗
06 LEMON CREME
07 オフィーリア
08 未来の恋人たち
09 恋するためにぼくは生まれてきたんだ (矢部Kb)
10 車の上のホーリーキャット (矢部Kb)
11 なにかきみの大切なものくれるかい (大田Vo)
12 REAL MAN
13 ゴング・ショウ
14 NEW MORNING
15 クエスチョンズ
16 モーレツな人 モーレツな恋
17 ダイナマイト・ボイン
18 MOTORCYCLE & PSYCHOLOGY
19 摩天楼に雪が降る

en.1
20 The Long And Winding Road

en.2
21 ANGEL

en.3
22 愛のさざなみ

 

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