月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

「ROMANCE」が刺さったまま

画像うへ~忙しい。というか仕事の量が多いのではなくて、ギリギリまでエンジンかからない自分が悪いってことは、いついかなるときも明白なのだけど。でも、この月ドラに駄文を書かないとすごくストレスがたまるってこともわかった(笑)。たぶん私、誰も読んでなくても書き続けるんだろうな、届かないラブレターを。

 

で、この稀に見る新譜ラッシュのさなかで(私が激しく欲しくなるような新譜がこんなに出るなんて…)、机の上にも封を切っていないCDが積んであるし、CD屋では私を待ってる新譜がたくさんあるはずなんだけど。

 

だけど、なぜか、今はチューインガム・ウィークエンド。世の中と関係なくブームが来ちゃうのが、音楽ファンの勝手なとこで、ね。60年代の霧の中に旅するのも、80年代の空気にウカれるのも、5年前のバンドに恋するのも、自由自在だものね。

 

チューインガム・ウィークエンドは、橋本孝志(vo,g)、岩田晃次(g)、鈴木淳(b)、夏秋文尚(dr)という4人のバンド。この編成、私のもっとも愛するバンドの形態だなー。グランドファーザーズもジャック達もそう。『ROMANCE』というこの3曲入りのマキシシングルは、98年のアルバム『KILLING POP』の先行で、5月に出たもの。この1曲めに入っている「COLD FEVER」という曲のドラムが、ものすごく激しく格好よくて大好きなので、このマキシはよく聴いてたのだけど、ここにきて、そう、最後の「ROMANCE」って曲が心に深く刺さっちゃって、そのまま。もうここ1週間近く。そういうことって、あるよね。

 

前の記事にも書いたけど、私は完全に後追いでこのバンドを知ったし、ナマで見たことも一度もないから、時代の中で、このチューインガム・ウィークエンドというバンドがどんな立ち位置でいたのか、リアルタイムで聴いていた人がどんな種類の思いをこの音から受け取っていたのか、は、わからない。

 

ものすごく繊細で、同時に荒削りな音、なんだよね。とても不思議な魅力を持ったバンドだと思う。主に橋本孝志さんが書いている詞とメロディは、いやんなっちゃうぐらいセンチメンタルでメランコリックなんだけど、常に自分を突き放すような諦観がどこかにあって、そのせいか、曲の中にはいつでも乾いた風が吹いている。岩田晃次さんのギターってのがまた奇天烈で、いっつでも凄まじい音してる。そこに、鈴木淳さんのベース。そして…夏秋文尚さんのドラム。この曲で、ただ淡々と鳴っているスネアの音と、時々響くシンバルの音。ドラムって楽器が、そのシンプルな音の背後にこんなに広くて深い思いを湛えられるってことに、ひどく衝かれる。

 

一度、生で見たかったな。かなわないまま、ずっと思い続けそう。

 

「ROMANCE」という、7分47秒もあるこの曲、チューインガム・ウィークエンドの魅力がぎゅっと凝縮された傑作のひとつであると同時に、日本のロックの中でも、特別な輝きを放ってる曲のひとつなんじゃないかな。その光が届いた人が、どれくらいの数いるのかは、わからないけど。少なくとも、私は、倒れちゃった。今ごろ、だけど。

 

この曲は、その3カ月後に出たフルアルバム『KILLING POP』にも収録されていて、これがまた名盤。いつか、書けそうだったら、また書こうかな。

 

チューインガム・ウィークエンドについては何も書けないって言いながらやっぱり書いちゃう、私の悪いクセ。でも、心に届いたものに私が思いつく「すべきこと」って、言葉を費やすぐらいしかないから。誰のためにも、何のためにもならないとしても。

 

 

*『ROMANCE』チューインガム・ウィークエンド