月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

「WATER PISTOL」チューインガム・ウィークエンド

画像“解けない魔法がまだ 胸で鳴り止まない いつか見た幻 追いかけたいよ”

 

「WATER PISTOL」。チューインガム・ウィークエンド(橋本孝志、岩田晃次、鈴木淳、夏秋文尚)のセカンドアルバム『Killing Pop』(98年)の6曲めに入っているトラック。このなんてことない曲がなぜだか心に深く入り込んじゃって、ここ何カ月も、この1曲をなんどリピートしてるだろう。もう10年近くも前の歌が、深く静かに、でもリアルに、私を混乱させてる。

 

リスナーの心に一気に切り込む激しさと強さを持つ1曲めの「ELEKING」や、ストリングスの入った7分半もの大作「ROMANCE」…、奇跡的な名曲ばかりが並ぶこのアルバムの中で、6曲めという微妙な位置で鳴るこの「WATER PISTOL」は、どちらかというと地味な歌かもしれない。やわらかなメロディと、はかないボーカル。クライマックスを避けるかのように坦々と流れていく世界。そして、そこに閉じこめられた、致命的なほどの狂おしさ。

 

“キズがまだつくなら 映るはずだ”

 

心にべったり貼りついて、離れない一行。ああ、そうだね。こんな言葉を内側に抱える、橋本さんとこのバンドの透徹した哀しみに、私は参ってるんだと思う。

 

“キズがまだつくなら、映るはず”…。そこにある、圧倒的な絶望と、ギリギリの希望。哀しみに裏打ちされた、やさしさと強さ。この自分というフィルムに、傷がつくのなら、まだ映るよね。まだ映すことができるはずだよね。あきらめぎみにでもそう信じることができたら、たぶん、生きていけそうな気がする。この、どうしようもない相容れなさを抱えながらでも。

 

“叶わない 恋には疲れただろう”

 

そう歌いながらたぶんこのバンドは、恋することも、願うことも、傷つくことも、絶望することも、わかりあうことも、生きてくことも、やめないしやめられないんだろうってことをわかってる。

 

そうやって、生きてく。たぶん私もずっと。こんな歌に心をとらわれている限り、しょうがないね。

 

『Killing Pop』。もし、どっかの中古屋で見かけたら、絶対買って聴いてみるといいと思う。聴いて気に入らなかったら私がぜんぶ買い取ります。

 

【追記】

そうだ、ソニーミュージック・オンラインでまだ試聴&ダウンロード購入ができるから、貼っとくね。 チューインガム・ウィークエンドのページ うわどうしよう、こうやって試聴で断片だけ聴いてもめっちゃカッコイイ…。

【追記2】(08/01/16)

今、久しぶりに上記リンクに飛んでみたら、moraでしか買えなくなってる…。 試聴だけなら↓こっちのページのほうが便利かも。 http://www.sonymusic.co.jp/Music/Arch/SMER/Chewinggum/index.html

【追記3】(22/02/22)

時代は2020年代に移り、なんとチューインガム・ウィークエンドもサブスクに。それが2020年2月27日のことでした。

https://twitter.com/otonanoenta/status/1232860975411290112

 

*『Killing Pop』chewinggum weekend