月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

清水宏さん×松村武さんで“古事記VSメタバース”! @ 隣町珈琲

文筆家の平川克美さんが中延でやっていらっしゃる隣町珈琲にはずっと行ってみたかったのだけれどやや遠いのでなかなかかなわず、(カムカムミニキーナの客演でもおなじみの)清水宏さんがここを舞台に定期的にスタンダップコメディのシリーズを開催し始めたのを知って心ひかれていたところ、カムカムミニキーナ主宰・松村武さんをトークゲストに招いて「古事記」テーマで開催すると!これは行かねば!ということで隣町珈琲へ。

 

清水宏の「明日のためのスタンダップコメディ~闘争的文化論~」
第9回 「古事記 vs. メタバース
ゲスト 松村武(劇団カムカムミニキーナ主宰)
●日時
2023年2月28日(火)19:00~21:00ころ(開場:18:30)
●場所
隣町珈琲
●内容
清水宏が挑む新たな「笑い」と「文化論」の新人間論スタンダップコメディ
今回のテーマは「古事記 vs. メタバース

 

めったに乗らない東急池上線だけれど目指してしまえば意外と近かった荏原中延。駅からすぐのアーケード街は、私には中野ブロードウェイをほうふつとさせた。歩いてほどなく隣町珈琲に到着。少し並んで待って開場時間に階下へ案内されると、中、広い!壁という壁に書籍がぎっしり。店内はイベント仕様にテーブルが片付けられて椅子が並べられていたけど、普段の営業のときにもゆっくり来てみたいなあ…。と、まわりを眺めているうちに開演時間。

 

お店の壁沿いに組まれた小さな舞台に清水宏さんが登場し、そろそろと話し始める。映画「アバター」やVTuberの話などからメタバースの世界へ。言葉としぐさだけでありありとみんなの脳内に映像を共有させてそれをグイグイ動かしていくって、ものすごいワザだよなあと思う。だって、現実の空間にはイスに座った私たちとテーブルの前に立つ清水さんがいるだけなのに、脳内ではぐわんぐわん緩急つけて走るジェットコースターに乗ってるみたいに風景も変わるしいろんな人がしゃべるし風も重力も感じるんだから。清水さんはいつものように汗だくになりつつ、メタバースから半ばムリヤリ(笑)古事記の世界へ。古事記は「ね!(右へ圧)」「ね!(左へ圧)」っていうことなんだっていう解釈、“空気を読まない”スサノオの話、おもしろかったー。私は日本史・古代史の知識がうっすくてほぼカムカムミニキーナのお芝居と松村武さんから聞いたお話をベースに聞くので「つちぐも!『ときじく』に出てきた」「これはまさに『猿女のリレー』だ」とか、そんな感じ(偏ってる!)。でもカムカムのお芝居もそうだけど、清水さんに語られると古事記も他人事じゃないし今の世相や政治にもつながってるしめちゃめちゃリアルに響いてくる。スサノオとかオオクニヌシとかで隙なくたっぷり1時間以上しゃべり倒す清水さん、圧巻。

 

10分ほどの休憩挟んで、ゲストの松村さんと清水さんとでテーブル挟んで対談。というか、清水さんをナビゲーターに松村さんの止まらないマニアック神話トーク。ああ面白かったー!松村さんの話聞くのだーいすき。松村さんの、語り部はCIAみたいな存在だったはずという話、すごくリアリティがあるし、古事記(に限らず歴史書)には史実もありつつ、語り手が、時の権力の意向とは別の主観を潜り込ませているはずだと。まさに、猿女のリレーだ!その、誰かが祈りや願いや思惑と共に文字や言葉の隙間に埋め込んだ“ある個人にとっての真実”を、こうして千何百年の時を超えて取り出して受け取ろうとしてくれる人間がいるということは、古今のすべての語り手(物語の創作者)にとっての勇気となるのだろうな。“自分が物語にねじ込むこの真実は、いつかきっと、誰かに受け取られるのだ”と信じられることは。

 

最後に松村さんが言ってた「語り部は、聞いてきたことを芝居にしてたんじゃないかと思う」というのも、時々披歴される持論。めちゃエキサイティングだ。で清水さんに向かって「今の(スタンダップコメディ)を見ていても“複数でやったほうがわかりやすいな”って部分あるじゃない」と言って、清水さんに嫌がられてた(笑)。いや、俺はできてたよ!と清水さん(笑)。

 

たぶん2時間の予定が数十分は過ぎていたかしら?おふたりともそもそもが文字量過多な人なので、2時間にこれだけの文字数(トーク量)が物理的に入るものかしら?といぶかってしまうぐらいの密な熱演&熱トーク。脳内の休耕地をガシガシ耕されまくるような体験、楽しかった!後日の清水さんのツイートによると、清水さんのスタンダップコメディカムカムミニキーナしめんげきでのコラボ再演もあるかもと!?

 


初めて行けた隣町珈琲はとても居心地がよく、いただいたコーヒーもおいしかった。あらためて普通のときに訪れたいな。開演前に、少しだけ平川さんとも(初めて)お話しできた。お元気そうだったのですっかり言い忘れたけど、心臓の具合その後いかがでしょうか!?どうかお大事にー!ワクワクするイベントの時間と空間をありがとうございました!

 

---------------------------------------------------------------------

(peatix記載の公演説明より)

清水宏の新たな挑戦「笑い」と「文化論」の新スタンダップコメディ
各回テーマをもってそのテーマについての文化的考察をスタンダップコメディで繰り広げながら、そこにゲストもお招きしより広く深く考え、新たな笑いへと昇華していくシリーズ!

第九回のテーマは「古事記 vs.メタバース

今回は日本人にとっての最古の世界観「古事記」と、これから私達の世界観や人間観さえ一新するかもしれない新しい世界「メタバース」をテーマに清水宏が時空を超えた真剣勝負に挑みます!

ゲストは劇団カムカムミニキーナを主宰し、数々の話題の舞台の作・演出を手掛けられてきた松村武さん。古事記にも精通する松村さんが見る日本人にとっての古事記メタバース、またこれからの世界について清水宏が伺います!!

何かが生まれ、何かが始まる新人間論スタンダップコメディ
清水宏の挑戦にぜひご参加ください!


清水宏さんより今回の公演に向けてのコメント
古事記。日本の最初のアレだ。
スサノオノミコトヤマトタケルノミコト大国主命の国譲り、海幸彦山幸彦、因幡の白兎、もう色んな人が色んなことを言ってるけど聞いても謎が残りまくる。だから新しくやってみる!
天皇家藤原氏、時の権力者の歴史の正当化とか言われるけど、それにしちゃあ変な暴露話も多いし、逆効果だろっていう部分もたくさんある。書いたやつの情念というか怨念というか愛憎を炙り出したい。
そしてメタバースVRとは違うらしい。急に「皆さんご存知のメタバース」みたいになってきやがった。
でもドンドンいろんな奴らが使い始めてる。日本政府のホームページにも出てきてるみたいだぜ。使ってないヤツはもうこの世界で呼吸不能!なんてことになる前に我々の方からドンドン掴んでやろうじゃねえか!使い倒してやろうじゃねえか!時空を遡った”古事記”と現実と仮想現実の線引きを超えた”メタバース” どこかで繋げてやろうじゃねえか!化学反応上等!スタンダップコメディが時空を超える!化学反応。。。上等!乞うご期待です!お待ちしてます!
ゲストは劇団カムカムミニキーナ作演出・役者をやっている松村武!劇作で「古事記」のことを掘り下げまくってきた、在野の「古事記」探求者。清水のスタンダップコメディに引き続き後半の対談は歴史観、芸術観、宗教観、人間感が古事記を挟んでぶつかり合う!こちらも乞うご期待だ!お待ちしてます!」