月夜のドライブ

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井手茂太ソロ『イデソロキャンプ』 @ シアタートラム に行ってきた!

イデビアン・クルーは、初めて観た2014年から公演があれば極力観に行くようにしてるけれど、主宰である井手茂太(いでしげひろ)さんのソロ公演はなんと17年ぶりということで、私は初めて。イデビアンの踊りの中でも、井手さんのソロダンスパートになると「キターーー!」と思ってしまうぐらいやっぱり別格なのだけど、舞台にその井手さんだけ、というあまりにも贅沢なソロ作品、いったいどんななんだろう?という期待いっぱい。シアタートラムで、初日6/3のマチネーと千穐楽の6/5ソワレを(こちらは娘とふたりで)観劇。

 

イデビアン・クルー 井手茂太新作ソロ
『イデソロキャンプ』
2022/06/03(金) ~ 2022/06/05(日)
シアタートラム
【振付・演出・出演】井手茂太 【音楽】ASA-CHANG&巡礼
【美術】伊藤雅子 【照明】齋藤茂男 【音響】島猛 【衣装】堂本教子 【舞台監督】横尾友広

 

 

「ソロキャンプ」というのはコンセプトワードなのかなと思ってたら、実際めちゃめちゃソロキャンプでびっくり(笑)!井手さんと一緒にキャンプに出かけて、そばで一夜いろんなこと体験したぐらいの濃く楽しい1時間。井手さんといえばこれが思い浮かぶぐらいのリーマンルック(キービジュアルもこれだったし)で登場し、苛立つような不安なような表情を見せながら、ぶつかったり避けたり人の視線から逃げたり、舞台じゅうを一人で縦横無尽に歩き回り、どんどん歩を早める。追い詰められた挙句、倒れてきた壁の下敷きからようやく脱出したところで、こんな現実から離れたくなったのか、キャンプへ。(井手さんが黄色いラジコンカーをぐるぐる走らすシーンが、キャンプに出かけた描写だったのはあとから気づいた、おもしろーい。)

 

暗転が明けると、黄色いキャンピングカーの後部と葉の生い茂った樹木が一本、舞台に。キャンプだ!スーツ姿のまま、少しずつ探るように手足を伸ばして、ゴキゲンになって踊る男(井手さん)がなんとも可笑しい。樹木のまわりをクルクル回りながら笛を吹いたり、次々ヘンテコな動きを繰り出すサラリーマンを見てると、こちらものびのびと深呼吸してるような気持ちになる。キャンプ場に着いた途端、自然っていいなあ!と不必要に体操してしまったりする、あの感じ(笑)。そのうちサラリーマンは靴が邪魔になって靴を脱ぎ、さらにズボンを脱ぎ、上半身はシャツ+ネクタイに下半身は黒短パン+靴下、という、考えうるもっとも情けない格好で踊るシーンもあるのだけど、これがめちゃくちゃカッコイイんだよな~!井手茂太おそるべし…。

 

テントを張ったり、樹を移動したりしているうちに、周囲はだんだんと夕闇に包まれていく。この、日中から夕方、そして夜へと変化していく照明、美しくすばらしかった。夜を迎えて待ってましたとばかりに焚火に火をつけようとがんばるけれどどうやってもうまく着火しなくて、たまたま空に光った流れ星に全力でお願いしたら火がついたシーンには、会場中が爆笑させられた。燃え盛る赤い火の前で(このときには上下黒の下着というミニマムな格好に)、キャンピングチェアに寝そべり、足だけでまるでシンクロナイズドスイミングのような動き。セクシーでもありつつやっぱりユーモラス。それに、井手さんのびしっと筋肉に包まれた太ももがカッコよくて見惚れてしまった。炎を見ているうちに内なる野性を刺激されてしまった男の、焚火にまたがっての荒々しい踊りもおっかしかった(笑)。

 

夜も更けてきて(たぶん持参のラジオから流れる)山口百恵の「さよならの向う側」がかすかに聴こえてくる中、男は睡眠のためにテントへ。窓から覗く顔芸も観客の笑いを誘い、ダンスにとどまらず芸達者な井手さん!すると忍び寄る吠え声…光る赤い目。ここからの、熊を寄せ付けないようにと鈴をシャンシャン鳴らしまくるダンス、びくびくした様子がたまらなく最高。さらにモコモコのぬいぐるみをすっぽりかぶっての自在なダンス、井手さんの真骨頂!カッコイイー。

 

ラスト再登場してアルバムの「Reprise」のように一連のダンスを踊る井手さんは、なぜか角帯を締めた着物姿(笑)。私は、キャンプ場で宇宙人に連れ去られた男が、地球外の生命体の前でダンスを披露してるのかな~とか想像した。あるいは、一流のエンターテイナーになった男が、サラリーマンだった自分の過去を振り返ってみんなに話してるのかなとかね。いろいろな解釈を呼ぶ謎展開(笑)。ともかくも和装で踊る井手さんはひたすらカッコイイ。さらに最後エルヴィス・プレスリーのようなキンキラのジャンプスーツに早着替えして締め!おもしろいやらカッコイイやら!全身に汗を光らせてお辞儀する井手さんに、会場中の大拍手。

 

井手さんの動きにぴったり付き添う照明と音楽、すばらしかったなー。まるで井手さんが身にまとう衣装のように、身体と共にひるがえり、ゆらめき、観客を魅了した。ASA-CHANG&巡礼の音楽、終始ほんとにカッコよくて、今でもまだ頭の中で鳴ってる。最初の歩き回るシーンのシアトリカルな音楽、キャンプに出てからのJazzyな曲、笛を鳴らして喜ぶシーン(そういえばココ、最初は横笛で、和装のときは縦笛の振りをしていた…細かいな 笑)の軽やかな旋律。キャンプファイヤのときの生ギター+テクノボイス+ラジオ体操のような音楽も、フシギな音色なのに場面にしっくりきててビックリさせられたなあ。どこからあんな音楽思いつくんだろ。

 

もう全体から細部まで何もかもが刺激的でオモシロく、そして最終的には井手さん世界一カッコイイ!と思う…!井手さん(とそれをサポートするクリエイター)の発想に驚き、その発想を現出させる井手さんの身体に驚きっぱなしの「ソロキャンプ」だった。楽しかったなーーー。同行できてシアワセ。また次も目撃したい。

 

東急世田谷線三軒茶屋駅のホームに、『イデソロキャンプ』のポスター駅貼りが!


席置きパンフ、片面がペーパークラフトになってたので家で作ってみた!テントの周りで踊る井手さんとクマ。カッワイイー(笑)。テント、折るだけでできた、スゴイ、楽しい。