月夜のドライブ

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【あとからメモ】KERA・MAP#009『キネマと恋人』 @ 世田谷パブリックシアター

(主にその日のツイートを中心にまとめたものを自分メモ用にあとからアップ。2022年03月)

 

世田谷パブリックシアターKERA・MAP#009「キネマと恋人」

2019年6月8日(土)~23日(日)

東京都 世田谷パブリックシアター

台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:妻夫木聡緒川たまき / ともさかりえ / 三上市朗、佐藤誓、橋本淳 / 尾方宣久、廣川三憲、村岡希美 / 崎山莉奈、王下貴司、仁科幸、北川結、片山敦郎

映像監修:上田大樹

振付:小野寺修二

音楽:鈴木光介

 

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2016年の初演が好評で、この再演に。しかし好評なだけあってチケットが全然取れず(キューブ先行でもぴあ先行(当選アップ券も使ったのに)でも一般でも買えず)、なんとか当日券で。私が観たのは6/20(木)。

 

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今日は世田パブでKERAさんの『キネマと恋人』観てきた!事前のチケが全っ然取れなくて当日券しかも立ち見だったけど、ホントに行ってよかったよ…。今まさに自分が1つの映画に心酔して「何度観ても飽きない!」と思ってるとこなので(※←『名探偵コナン 紺青の拳』のこと)ハルコの気持ちがわかりすぎてせつなさに射抜かれそうだった…。

 

ハルコと高木高助のあの会話は、私のような、映画や芝居や音楽や小説や、あらゆる表現の「受け手」にとって夢のような世界線。あなたの表現をわかる私と、わかってくれる人がいたことを喜ぶあなたと。でも、あっちとこっちの世界は「点」で接する限りギリギリ美しく成立するけど、しっかりと面で貼り合わせようとした途端、シャボン玉みたいにあっけなく壊れてしまう…その現実の残酷さ。ラスト、深く傷ついたハルコとミチルが、まさに傷つけた相手であるスクリーンの「あっちの世界」に癒やされ再生していくシーンは、なんて残酷でそして強靭なのだろうと思った。夢に破れた心を否応なしに生まれ変わらせて現実を超えさせていくのも、また夢の役割なのだよな…。

 

小野寺修二さんの振付とチームによるダンサブルな場面転換、初演時よりさらに進化/深化して、それだけでひとつの公演のようだったなあ。立見席は3階最後方なのでステージ全体を見下ろす形になるんだけど、その視界から見る、動きやフォーメーションの面白さ美しさ…!そして初演でもすこぶる驚いた、人力で動かすパネルとそこに投影される映像とキャストの動きとの緻密な連係によるオープニング。パッと集まっては散っていくパネルを見ていたら、なんだかお芝居というものの儚さと尊さが胸に迫ってグッときてしまったのだよ…。

 

このパネルのように、芝居そのものも瞬間的にそこに立ち現れる幻のような存在で、観たそばから次々なくなっていってしまうわけだし、公演期間が終わればそこに生きていた人物たちも舞台さえも、バラされて跡形もなく消えてしまう。好きであるほどその消失に苦しめられもするけど、それでもなお甘美なその刹那の体験の尊さを信じて、KERAさんはじめ舞台人たちはこんなにも熱心に芝居を作り届け続けてくれてるんだろうな…と、目の前の『キネマと恋人』の世界とリアル世界の接点でなんだか泣けてきてしまった。

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