月夜のドライブ

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【あとからメモ】土田英生セレクションvol.4『きゅうりの花』 @ 三鷹市芸術文化センター 星のホール

(主にその日のツイートを中心にまとめたものを自分メモ用にあとからアップ。2022年04月)

 

仲のよい演劇通のお友だちがMONOが好きで、土田さん演出のこのお芝居を前におすすめツイしていたのがきっかけで観劇。初・土田さんだったのだけど、とてもよくって、三鷹市芸術センターというわりと近い場所だったこともあって結局、7/30、8/3、8/6の計3回観てしまった。

 

Cucumber+三鷹市芸術文化センターpresents
土田英生セレクションvol.4『きゅうりの花』
2017年7月28日(金)~8月6日(日) 全11公演
上演時間:1時間50分(途中休憩はございません)
三鷹市芸術文化センター 星のホール
作・演出:土田英生
出演:内田淳子、加藤 啓(拙者ムニエル)、
   金替康博(MONO)、神田聖司、諏訪 雅(ヨーロッパ企画)、
   千葉雅子猫のホテル)、土田英生(MONO)

 

【7/30】

三鷹市芸術文化センター 星のホールで土田英生さん作演出の『きゅうりの花』観てきた!土田さんのお芝居ずっと気になってたけど観る機会なくて、今日観に行けてよかった!めちゃめちゃおもしろかったし超好みなお芝居だった!!!!

 

出演者の方々、お名前はよく見知った実力者揃いで、当然といえばそうなんだけどまあなんとおもしろい会話劇!いろんなところがしみじみおっかしくてずっと笑いっぱなし、なのになんともいえないせつなさに貫かれてて。ひとりひとりがくまなくおもしろかった。特に、金替さんと千葉さんの夫婦が喧嘩してるところに諏訪さんが挟まってる場面、ものすごくシリアスなシーンなのに死ぬほど笑ったわぁ。諏訪さんが一から十まで最高だった。あの「仕草」が出るタイミングの絶妙さ!おっかしかったなぁ…!

 

『きゅうりの花』もちろんタイプは違うけど、去年観た阿佐ヶ谷スパイダース『はたらくおとこ』にも通じるような。ああいう、出口のないどんづまりの場所を舞台にしたお話ってとても好み。普通の人たちが繰り広げる、あまり救いもなさそうなはずのドラマを、愛ある視線で喜劇的に描く筆致。

 

それにしてもラストシーンの衝撃。あんなに悲しいのにあんなにバカみたいにおっかしいシーンもそうそう思い浮かばない。なんだよこれーと思いながら、超笑けるのにポロポロ涙出た。もーたまらない、すっごい好き。しかしありきたりな感想だけど役者さんってすごいなあ。登場人物みんな、クセはあるもののその辺にいそうな普通の人。特に千葉さんや内田さんが演じた役なんて、あーこういう女性いるよねっていう普通の人でしかもオーバーな演技するでもないのに、なぜかいちいちおもしろい。凄い!

 

【8/3】

土田英生セレクション『きゅうりの花』、今日のマチネーでまた観てきた!このあいだ観てあまりによくって、どうしてももう一度観たいなーとチャンスをうかがってたんだけど…今日別件仕事済ませたあと、ギリギリなんとか間に合った!はーほんといいお芝居だなー…好きだー。

 

何回でも何十回でもナマで観ていいタイプのお芝居だなー。あの会話の「場」と「時間の流れ」を共有できること自体をすごくシアワセに感じる!会話劇って、じつはとっても身体的な体験なのだなあ。土田さんの脚本がふくよかで、もういろいろに感じとれる。たまらん。

 

いやしかし加藤啓さん演じる永井の中年男性クライシスが痛々しくつらい…。(拙者ムニエル見たことないので私はお初の)加藤啓さん、写真だとあんなイケメンなのに、舞台上の永井はなんかイケてなくて残念な感じなの、役者さんてすごいなあ。登場人物がみんなそれぞれにいとおしい。田舎の人ならではの無神経さ。そして同じぐらいのやさしさ。それが、あのカバンのエピソードで一発でわかるの見事すぎて惚れ惚れする。ほんと、みんながみんなやさしいんだよね。それでも、そこからこぼれてしまうものがあるラスト。せつない。

 

そして何度も言い過ぎだけど諏訪さんが出色。あの雄介っていうキャラクターのいけすかなさととぼけた可笑しさ、最高すぎる。あんなにカンにさわるタイプなのに結果、どチャーミングに見えるの、なんなの!もうまた会いたくなってるもん、雄介のあの喋り、あの仕草。

 

【8/6】

『きゅうりの花』東京公演最終日観てきた!結局3回…!土田さんがこのセレクションのシリーズは「自分で演出するのは最後」なんて言ってるものだから、うーんやっぱりあと1回観ておきたい…!と思って。今日も観てよかった。このあいだはパンフ買って、今日は上演台本も買ってしまった。ふだんはあまり芝居の物販買わないんだけど。にわか土田さんファンだわ…(笑)。下河部青年会のあの一人ひとりがいとおしくて、あの世界から離れたくなくって。台本読んで思いを馳せて、まだまだどっぷりつかりたい…。

 

先週の日曜日に初めて観て、木曜日に観てそして今日3回目観て。もうこの1週間ずっと頭の中で「ハア、イエイエナー」とイエイエ節が流れてる。小学校の音楽の時間に習った、盆踊りで踊った、っていう誰しも持つ郷愁(東京生まれの私でも)と自然に重なるのがまた秀逸だな、と…。

 

MONO版は観ていないので比較できないけど、今回のキャスト、なんて絶妙なんだろう!と全員を思う。内田淳子さんがさりげなく凄い。魔性の女というのでもなく、子ども時代から地続きのサバサバした性格が却って永井を追い込む、その本人の意図しない罪深さがたまらんかったよ…。その内田さん演じるゆきちゃんの存在感はあの方言をまとうことで一層魅力的になってた。「~なんだわ」「~だろ?」とサッパリした人なつっこさで誰の懐にもストンと入っていくゆきちゃん、そして他意のない親密さ。受け取り間違うと永井みたいにとんでもない重傷負うことに…(泣)。そしてやっぱり諏訪さん演じる雄介の存在感が心から離れないー!「2017その人そこにいたで賞」暫定グランプリだなあ、すっごく魅力的だったー、なぜかわからないけどめちゃ惹かれる人物像だった。いつもの諏訪さんを全然知らないけど、今回超ハマり役だったのでは、と思える。

 

『きゅうりの花』もそうだし阿佐スパ『はたらくおとこ』それからKERAさんの『キネマと恋人』なんかも。独特の方言と、出口のない場所が象徴的に重なるお芝居。そのコミュニティを守りもし閉ざしもする「言葉」。グッとくる好きなお芝居が多い。