月夜のドライブ

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【あとからメモ】カムカムミニキーナ『>ダイナリィ』 @ 座・高円寺

(主にその日のツイートを中心にまとめたものを自分メモ用にあとからアップ。2022年05月)

 

カムカムミニキーナ劇団旗揚げ25周年記念公演
>(ダイナリィ)
~大稲荷・きつね色になるまで入魂~
作・演出:松村 武
出演:山崎樹範 藤田記子 吉田晋一 松村武
清水宏
夕樹壽太 莉奈
未来 田原靖子 田端玲実
佐藤恭子 長谷部洋子 
米田弥央 亀岡孝洋 藍山彩 元尾裕介
正木航平 菊川耕太郎 福久聡吾
大倉杏菜 芦原桐子 柳瀬芽美 渡邊 礼
本間茂樹 芹井祐文
期間:2015年11月12日(木)~11月22日(日)
会場:座・高円寺1

美術:中根聡子
音楽:土屋玲子
照明:林 之弘(六工房)
音響:山下菜美子(mintAvenue inc.)
    中島有城
衣裳:木村猛志(衣匠也)
舞台監督:原田譲二 小川信濃
演出助手:山田 翠
演出補:藤條 学
制作助手:鈴木 誠 水流あかね
制作:蓬田恵美子(パパゲーノ)

 

 

11/22(日)カムカムミニキーナ『>ダイナリィ』@座・高円寺、観てきた。うー、凄すぎて何も言えねぇ…。芝居の最中に今自分がどの時代にいるのかどの場所にいるのかわからなくなることはあっても、ここまで虚と実の狭間でどこに自分の身があるのかわからなくなることって、未だ嘗て経験なかった…。言葉にならない…。しかし清水宏さんの汗の量がとんでもなかったなあ…!

 

個人的にいちばんぐっときちゃったセリフは清水宏さん演じる憩健太の「許されない演劇なんてのはねえんだよ。あるとしたらそれは面白くない演劇だけだ」っての。これがどんな状況で言われてるセリフかってわからないと、ぐっときどころ説明できないんだけどね。今「あんなにストレートで」しかも同時に「あんなにおもしろい」芝居ができるの、カムカムミニキーナだけなんじゃないだろうか。今日の芝居の中で、ストレートでおもしろくない芝居ってのが出てきて、その入れ子がまたシビれたー。

 

今日の『>ダイナリィ』、いつになく若い出演者さん(新人さん?研究生?)が多くて、彼ら彼女らを見ていたら、「生を繋いでいく」ってこと、カムカムミニキーナ25周年の公演ってこと、若い世代へ演劇のバトンを渡していくってこと…、その辺も芝居の中と外、虚実ひっくるめてジーンとしてしまった…。

 

私の席はSSS(スペシャル・サラウンド・スケルトン)シート、なんと真四角全方位の舞台の、さらに床下までが脇からぜーんぶ見えるの。無数の衣装が釣ってあり、小道具が押し込まれてあり、役者が着替え、出入りするのも丸見え。その発想も覚悟もすごい…!さっきまであの役やってた役者が別の服に着替えてる、その裏側まで見れることが「芝居の嘘」をさらけ出し、でもそれは三方客席に囲まれた舞台と共に「どこから見られてもいい」という劇団の「リアルな」覚悟表明でもあり。SSSシート、なんちゅー装置なのかと…。

 

イケメン夕輝壽太に嫉妬するサエナイやましげ、という構図、普段なら「設定」としてさらっと消化しちゃうのに、虚実がぐるんぐるん入れ替わる舞台で逆にそれが生々しくリアルで、なんだろ、鏡の中の像にどっきりするようなグロテスクな手ざわりがあったなあ…。

 

やましげさん演ずる狐の「ファックス・ユー!ファックスを送りつけるからな!」というので客席何度も爆笑するんだけど、後半でそれが「フォックス・ユー、お前に憑いてやる」となったときの背筋が凍るような感じ。一気に、反転する。それは、序盤でやましげさんが「狐全体」を演じろと命ぜられたくだりの可笑しさが、あとで「全体」であるがゆえのぞっとする展開になるのも同じで、笑ってた自分がいつのまにか呪いに加担していたというような怖さがあった。