月夜のドライブ

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ムーンライダーズ"NEW YEAR DASH 2009 Vol.1" @ 新宿LOFT

画像「珍しい曲やるなー」とは思ったけど、そんな企画だとはまったく気づかぬまま、次々演奏される曲をただ「いい曲だなあ…」「ああ、これもいい曲じゃん!」と思いながら聴いていた。新宿ロフトという、バンドのリアルな地力がむき出しになるハコでのライブで、図らずもあらわになったのは、ムーンライダーズというバンドが“いかにバンドとしてまっとうか”ってことと、ムーンライダーズのナンバーが“いかに楽曲としてすぐれているか”ってことだった気がする。つまり「ムーンライダーズ、最高のバンド」ってこと。あきれるほどシンプルでもっともハードな「to be」を、このバンドは今も更新し続けてるんだ。

 

2009年01月14日Wed.
MOONRIDERS
NEW YEAR DASH 2009 Vol.1
@新宿LOFT
[出演] ムーンライダーズ / トクマルシューゴ
開場18:00 / 開演19:00

 

 

まずはセットリストどん!(ムーンライダーズ公式サイトより)

M-1マスカット・ココナツ・バナナ・メロン
M-2 Beep Beep Be オーライ
M-3 ジャブ・アップ・ファミリー
M-4 モダーン・ラヴァーズ
M-5 太陽の下の18才
M-6 工場と微笑
M-7 二十世紀鋼鉄の男
M-8 M.I.J.
M-9 HEAVY FLIGHT
M-10 DON'T TRUST ANYONE OVER 30
M-11 Elephant
【アンコール】
En-1 Tokyo,Round and Round
En-2 バースディ

 

ね。つまりは今回の企画、“B-1グランプリ”(アルバムのB面1曲めを次々演奏)だったんだって!でも、ライブ後半のMCでそれを慶一さんから明かされるまでは、私、まったく気づかなかった。だって、ふつうにいい曲ばっかじゃん!M7ぐらいまではぜんぜん変だと感じなかったよ。「M.I.J.」「HEAVY FLIGHT」あたりでさすがに「今日は珍しい曲やるなー」って思ったけど。なるほどそういえば、アルバムB面1曲めって名曲の格納庫なんだな…。CDというフォーマットに慣れて、すっかりそんなこと忘れちゃってた。やるなあライダーズ。

 

とりあえずライブの最初に戻って…。

 

トクマルシューゴ

開演時間を回り、ステージに最初に現れたのは、対バンのトクマルシューゴさん。慶一さんのことを「お父さんに似てるんです(照)」と言うぐらい若い、男の子。まだ20代かな。お客でぎゅーぎゅーでステージはほとんど見えなかったんだけど、たぶん4名のバックバンド引き連れて。イトケンさんがバンドにいるのは知ってたんだけど、ドラムかと思ったら左のほうで別の楽器(まったく見えず…)をやってたな。ふわりと曲に入ったトクマルさん、テクニカルなアコースティックギターを弾き、きれいな声で歌う。イメージどおり柔らかい感じのポップスなんだけど、アンサンブルは複雑で、曲を追うごとにだんだんビートがきいたひねくれた世界に突入してっておもしろかった。「最初60分もらったんですが、僕もムーンライダーズをたくさん見たいので…、40分ぐらいで切り上げますからご安心ください(笑)」なんてMCのとおり、40分ぐらいで終了。

 

ムーンライダーズ

ロフトのステージにいったん幕が下りて、楽器替えなど。で、場内が暗転していよいよかなと会場の気分が高まったとこに、メンバーの楽屋トークが音声で降ってくる(笑)。「今日はヤル気しねーなー」「もう着替えないと!」「便所も」「かしぶちくんどこ?」「そろそろだなー」「も~夏秋くんだけが頼りだね」「イントロどうする?」とか…(笑)。で、ダラダラ3分ぐらいトークが流れて最後に「さ、みんなもうそろそろ行きますよ!」みたいなセリフ(byサポートの夏秋さんの声だった!)が入って、そしたら幕が上がった!笑った~。

 

LOFTの狭いステージにぎゅっと7人が固まってると、それだけでバンド感が増して、もー無条件にカッコイイ!特にこの日みたいな70年代あたりの曲には、やっぱり狭いハコ似合うよね。しかし会場は超満員でステージほぼ見えず…。「マスカット・ココナツ・バナナ・メロン」「Beep Beep Be オーライ」「ジャブ・アップ・ファミリー」「モダーン・ラヴァーズ」「太陽の下の18才」…このあたりの曲を歌う慶一さんのボーカルはイキイキして、良明さんのギターはいつになくトンがってて、岡田さんのシンセやヴォコーダーはここぞとばかりに炸裂しまくって!やー、いいわーーー。それにしてもいい曲多いな~ライダーズ。ま、売れてないんだけど…。

 

サポートの夏秋さんのドラムは凄い音してた!ロフトの音響の特徴でもあるんだろうと思うけど、なにしろひたすら音がデカくて迫力あって。それに夏秋さんのドラムって、今日みたいなセットリストにじつはすっごく合うんだなとも思った。ニューウェーヴィ~な遊びを思いきりおもしろがりつつ、さらにそこに重力を投下していくようなドラミング。カ・カッコイイ…。最高のサポートでした。

 

この日のセットリストは、メンバーのボーカルの入れ替わりやコーラスの絡みが細かく複雑でヘンテコで楽しめた。ライダーズって唯一無二のバンドだなーと思う瞬間。「工場と微笑」の博文さんのボーカルはカッコよすぎてヤバイ。ひさしぶりに聴く「二十世紀鋼鉄の男」もすてきだったなあ。「M.I.J.」はさすがにびっくりした!突如「TV!TV!」って、うわ、カッコイイーーー!!この曲はかしぶちさんも夏秋さんもシンセパッド叩いてたかな…(よく見えなかったけど)、ポコポコいっててかわいかったー。プログレっぽいイントロで最初まったく何の曲かわからなかったのが「HEAVY FLIGHT」。ゆったりしたテンポ、メロディアスなアレンジ。良明さんのボーカルが浸みた。アルバムでは尖鋭的なイメージの曲だけど、なんだかしっとりといい曲で泣けたなー。

 

で、この日の個人的ベストはなんといっても本編ラストの「Elephant」!!武川さんのトランペット、良明さんのギター、岡田さんのシンセ…。メッチャクチャで、重たくて、ぶっ壊れてて、楽しい!!この曲の夏秋さんのドラムのカッコよさには息が止まりそうになった…。そして慶一さんの壊れたオモチャみたいなボーカルがサイコ~!アンコールの「バースデイ」もヘンな終わり方でよかったー。

 

 

昨年12月のときみたいなお楽しみもりだくさんのライブも楽しくていいんだけど、個人的には、ストイックに淡々と自曲を演奏し倒していく今回のようなライブ、すごく好み。ムーンライダーズの核にある、バンドとしての強さや重さが、音を立ててストレートにぶつかってくるから。

 

意味もなく、理由もなく、ただひたすらカッコイイ。ロックバンドとしてこんな最強の状態ってないよね。意味も理由も要らないなんて。30何年がなんちゃらとか、あっても別にいいけど、なくてもぜんぜんよくて、なにしろ今ここで音を出してる彼らが最高におもしろくてカッコイイ。ムーンライダーズって、つまり、いつでもそういうことなんだなーって思う。