年末にいつも「マイ・ベスト・アルバム」と題して、自分がその年聴いた数少ない新譜からいくつか並べているのだけど、今年はフルアルバムで3枚、がうまく選べなかったので、「マイ・ベスト・ディスク」とタイトルをマイナーチェンジしてGO。ま、表題なんて何だっていいんだけどね。いつも以上に、ヒトリゴトみたいな「ベスト」です。
1.『Skeletal Lamping』of Montreal
今年の新譜でフルアルバムで、といったら、ベストは圧倒的にこれ。詞もサウンドもフォーマットも世界観も、スパイラル7巡りぶんぐらいは今の音楽の先を行っている奇異でラディカルな存在。なのに、すぐれてキャッチーなメロディと下世話なまでのポップセンスが、マスとの距離を一気に縮め世界中を躍らせる。こんな甘美な戦慄は、今のof Montrealでしか味わえない。 (→過去記事)
2.『Strawberry - JACK TATI's JACKFRUIT SINGLES#1』ジャック達
「アルバム」でないのはもちろん、じつは「ディスク」でさえないんだけど。でも、2008年いちばんよく聴きもっとも心を奪われた新譜は、まちがいなくこの配信シングルだった。若さを発火点にしないロックが、ここまで熱っぽいギターを鳴らせること。じゅうぶんなほどのキャリアを積んだミュージシャンが、あいかわらず危なっかしいほうの手札を選べること。「幼稚か円熟か」の、ロックを死に至らせる二択を蹴り飛ばして、ジャック達は彼らだけの答えを探し続けてる。 (→過去記事)
3.『Say, Scientist』The Maple State
2月発売のこれも、フルではなく6曲入りのミニアルバム。年間通してほんとによく聴いた。素性も知れないイギリスの若いインディーバンドの音が、どうして今年の私の心をこんなにも捉えてしまったのかは、いまだによくわからない。(ま、ボーカルのGregのカッコよさは理由のひとつかもしれないけど…。)ギターの音、コーラスの響き、サウンドの一片一片。このバンドが持つ独特のひんやりした焦燥感に、ただ惹かれていた。 (→過去記事)
今年、新譜を買わなかったわけではないのだけど、ほんとうにたまたま、買ってすぐヘヴィーローテーションへと至るフルアルバムが少なかった。その原因が音楽側にあるのじゃなくて、私の内側にあったことも自分ではよくわかってる。今年はそれでしょうがなかった。ま、そんなこともあるよね…。
でもね。こんな中途半端な私なのに、音楽のほうからリスナーを見切ったりは、ぜったいしない。やっぱり、音楽って、大きくてあたたかくてすごいんだ。ありがとう、と思う。
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