月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

「An Eluardian Instance」のまぶしさと痛み

画像はぁ…ダメだ…。日々、of Montrealのことしか考えてません…。トップがオブモンの記事だと、元々人通りの少ないこのBLOGがさらに閑散とする現象も気にしない!アクセスべこっとへこむけど(笑)かまわない!胸が痛くなるほど好きだオブモン…どうしよう。ひっさびさにケータイの待ち受け内下克上(←地球上もっとも規模のちっちぇえ争いだ)が起こり、今はヘンなコスプレしたケヴィンがこっち見て微笑んでる。ラヴー。その前はなにげにThe Chewinggum Weekendだったんだけどね。

 

of Montrealの新譜『Skeletal Lamping』の5曲めに入っているトラックが「An Eluardian Instance」。「エリュアールの場合」、…とでも訳すのかな。クラッとくるタイトルだね、さすが。前回の記事で、“曲の概念を破壊した地点でなお輝くKevinのメロディの普遍的な魅力”ってことを書いたけど、このアルバムの中で、それをもっとも体現しているのがこの曲だと思う。こんなにうつくしいメロディが世の中で新しく響き出すのを目にするよろこび!音楽聴くのを、やめられるわけなんてないよね。

 

曲調もモチーフも、前作『Hissing Fauna, Are You The Destroyer?』の中の「A Sentence Of Sorts In Kongsvinger」の続編という感じ。若い時間が持つ果てしないまぶしさと残酷な痛み、わかっていてもそこに身を投じてしまう青春の愚かさととうとさ、が描かれる。まるで青春小説を読むような4分半。そして、メロディとともにそこに置かれている言葉ひとつひとつの、あまりのせつなさに胸を撃ち抜かれる。

 

Now, I'm viewing my memory reel in reverse
Scrolling back to come to feel your whether-than weather then
Now, I'm noting the limits Himmlers of our parabola
To predict the points of "thou shalt shall not return"


(CDには歌詞カードはついていないので、lyricサイトから引いてます)
(【08/12/17追記】公式サイトに正しいLyricsがアップされたので違ってたとこ修正しました)

 

きらきらした光の粒子が見えるような言葉たち。宝石を扱うように選びとられる単語のなまめかしさ。“きみの痛み”にリアルに触れさすポエトリーの力。ケヴィンの声でコレ歌われてごらんよ、ヤバイってマジで…。外国語をちゃんとは理解できていないだろうということを差し引いても、胸が締め付けられて倒れそうになる…。

 

この曲のライブバージョンを、発売元レーベルPolyvinylがYouTubeにアップしていて、これがとてつもなくいい。アルバム発売前のツアーで、曲タイトルはまだ「Our Last Summer As Independents」って紹介されてる。ナマのリズム隊の躍動感、ツインギターの恍惚、“of Montreal”がケヴィンのコンセプトワークであると同時にいやってほど「バンドである」ことを納得させられるテイク。(途中、例の謎の男が客席で踊ってるのが映る。超おっかしい。)


of Montreal - An Eluardian Instance (Live)

つーか、ケヴィン、カッコよすぎるでしょ…。熱出るって…。さらにもう一発、「bandstand busking」というサイトでオブモンのアコースティックセットのパフォーマンスを3曲、収録・公開しているんだけど、ここでも「An Eluardian Instance」が演奏されてる。アコースティックのこれがまた、たまらないよさ。ケヴィンとブライアンのうつくしいハーモニーにキュンとする。映像もとてもキレイ。

youtu.be

Of Montreal - An Eluardian Instance

ああ、ケヴィンの哲学者みたいな神経質そうな横顔、好きだ…。でもこの映像とか見てると、アンアン的な一般女子人気はむしろギターのブライアンのほうがありそうだ…と思ったりね。

 

きらびやかな音にあふれるアルバムを聴き、奇矯なパフォーマンスを繰り広げるライブの様子を窺い見ていると、of Montrealは(というかKevin Barnesは)、現代のトリックスターとして肥大して世間に消費される覚悟を決めてるんだろうな…と思う。けれど、その底に、この素朴といっていいほどのバンドっぽさや、アコースティックギター1本で輝く楽曲そのものの力を持っていることが、やっぱり私がof Montrealにどうしようもなく魅かれる理由なんだろうなと感じるんだ。