月夜のドライブ

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Beaver Nelson & Scrappy Jud Newcomb @ LIVE CAFE 弁天

画像ルーツ・ミュージックの本場、テキサス州はオースティンのアーティスト「ビーヴァー・ネルソン」が来日したのでライブを観に行ってきました!…と書くと非常にツウな感じがしてイイんだけど、私に限ってはツウということはありえず…。はい、バックでドラマー・夏秋文尚さんが叩くので聴きたいなと思って出かけてきました。毎度ミーハーな理由で恐縮。

 

Beaver Nelson & Scrappy Jud Newcomb @ LIVE CAFE 弁天
2007/08/16(木)
Vo&A.Gt:ビーヴァー・ネルソン
Vo&E.Gt:スクラッピー・ジャド・ニューコム
Bass:安部“Ohji”隆雄
Dr:夏秋文尚

 

ビーヴァー・ネルソンはテキサス州オースティンを拠点に活動するシンガーソングライターとのことで、チラシの写真見ると一見年齢高そうなのだけど、1971年生まれだって。私よりも年下ですね…。そして今回はビーヴァーの盟友であるプロデューサー/ギタリストのスクラッピー・ジャド・ニューコムも参加。彼はオースティンでも指折りのギターの名手で、あの!イアン・マクレガンのバンド他に参加したりしてるそう。といっても、洋楽の素養ゼロの私には、ありがたみがわからず申し訳ないのだが…。

 

このビーヴァー&スクラッピーを後ろでがっちり支えるのが、4月のガーフ・モーリックスのときにもバックをつとめた安部Ohjiさん(R・O・M・A)と夏秋文尚さん(ジャック達)のお2人。つまりこの日のバンド、アメリカ人ギタリストと日本人リズム隊のハーフ&ハーフ。おもしれー。っていうか、Ohjiさんも夏秋さんもベーシストとドラマーにしては色白で小柄でひょろっとしてて、どう考えてもふだん1000gのステーキは喰ってねーだろうな…ってタイプなんですが、本場テキサスの豪の者を迎え討つことができるんでしょうか…(ハラハラ)。←音楽以外に目がいきすぎ

 

確実に私以外はツウな感じのオーディエンス(でもこのあいだのガーフのときよりはやや若め)の拍手の中、日米混合バンド登場。うわ、なんていうか、アメリカ人ふたり、マイクの前でギター抱えるそのたたずまいだけで、さあっとテキサスの風が吹く感じ(テキサス行ったことないけど)。で、このバンドが息を合わせて音を出し、ビーヴァーが歌いスクラッピーがコーラスを重ねると、もういきなりオースティンに連れて行かれるようだった!(オースティン行ったことないけど!) その声に、そしてそのギターに宿る、理屈抜きの力。歴史から受け継がれて、自然にカラダの内に入っているもの。「アメリカ」ってこういうことなんだなあ…。またふたりとも、何てことないけど深みのあるいい声してるんだよね…。

 

ビーヴァーの音楽は、基本ストレートなロックンロールだと思うのだけれど、その内にやはりルーツ・ミュージックの豊穣な恵みをたっぷりと湛えていて、奥行きがある。4リズムのシンプルな音だし、ビーヴァーもスクラッピーもキズだらけのギター一本(ビーヴァーのアコギなんてサウンドホールの縁まで欠けてた)を持ち替えることもない武骨ぶりなんだけど、メロディもサウンドも変化に富んで、退屈さとは無縁。とりわけ、スクラッピーのギターには参った。デカいカラダでなんてことなく弾くんだけど、私が日本のどこでも聴いたことないような音出すんだよね。そこだけ電圧ちがうんじゃねーの?ってぐらい音もでかいし。スライドギターも恐るべき底力のある音だったー。

 

このゴツゴツした音を支えるリズム隊もよかった。私はビーヴァーの元々の歌をまったく知らないのでもったいない聴き方になってたとは思うんだけど、しっとりしたバラッドからストレートなビートの効いたナンバー、レゲエのリズムを刻む曲まで、彼の変化に満ちたサウンドが夏秋さんのドラムのいろんな表情を小気味よく引き出すのを見られて、すっごく楽しかった。この曲、と、きちんと言えないのがもどかしいけど、アンコール曲のドラムとか、えらくカッコよかったなあ…。なにかの曲のリムショットとかも、うっとり、クギづけ。そして何より、とてもこの夜一回限りとは思えない、バンドのクオリティとフレンドリーな空気がすばらしかった。心の底から音楽を愛してるミュージシャン同士って、国境もふだん演ってる音楽のちがいも軽々と超えちゃうんだなー。言葉に足を絡め取られながら生きてる人間にはちょっとうらやましい。

 

ものすごくシンプルな感想だけど、いい音楽ってあるもんだよね。特に、この島国にいて「外国人アーティストのライブ」というと、何千人何万人を投網で一ヵ所にかっさらうようなものばかり注目されるけど(もちろんそれが悪いわけじゃぜんぜんないけど)、そういう音楽と、こうやって何十人かのオーディエンスの前で演奏される音楽と、音楽の質や重みには変わりがないんだなってあらためて思った。当たり前だけど、やっぱり、音と数って関係ないんだよね。

 

そう思える外国人のライブにこの夜出合えたのは、100%ミーハーな理由でここにきた私には、身に余るほど素敵なデキゴトだったかも。見ためあんまり強くなさそうな日本人ミュージシャンふたりの、その細身に似合わないほどのタフな演奏ぶりを聴けたのもよかったし、ね。
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