月夜のドライブ

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西村哲也@烏山TUBO

画像ライブの規模の大小とそこから受け取れる音の恵みの豊かさが、(反比例もしてないけど)必ず比例してるわけでもないという体験は、私たち音楽ファンへのギフトだよね。ここのとこ、AX、渋公、AXと、マイナーリスナーにしてはやけに大きめのホール(ま、それとて東京ドームや武道館ではないが…)でのライブが続いてた私、昨日は烏山のこじんまりとしたライブバーで西村哲也さんのライブを観てきたのだけど、これがもう本当に、万難排して出かけてよかったと心底うれしくなる、音の豊かさにあふれたライブだったのだ。

 

12/16 西村哲也ライブ@烏山LIVE BAR TUBO
support member:Bass 大田譲(from CARNATION)、Keyboards 伊藤隆
共演:藤井貴

 

この日は、西村哲也さんのバッキングをつとめるのが、ベースに大田譲さん、ピアノに伊藤隆博さん、という強力な布陣!あーもう大昔から直近までのいろんな局面で、私の超アイドルな方々…(アイドルにしちゃちょっと地味だが)。でも個人的には、ここまでアイドルが揃ったらもう一声、ドラムに夏秋文尚さん!とぜひぜひお呼び立てしたくなるところなんだけど(笑)、西村さんのMCで「今日は夏にやったバンドのメンツで…でもひとり欠席ですが(笑)」とあったように、ハコのせいかご本人の都合のせいか、ドラムレス。ちょっと残念ー。でもね、ドラムがないからアコースティックだと思うじゃない、それがとんでもなかった!やー、なんたるロックな演奏だったことでしょう、おっそろしかったよ、マジで(笑)。下手なバンドよりよほどロックなアコースティックセット。ホントびっくりしたー。それは後述。

 

ステージは、まず西村さんとは以前からの音楽仲間である、共演の藤井貴子さんから。まったく予備知識ナシで拝見したのですが、西村、大田、伊藤というメンツの対極にあるような、若くてお人形のように美しい女性が登場したのでドキドキ(笑)。その美しい藤井さんが、しゃべると意外にしゃっきりした感じなのが、いかにも京都の女性っぽいなーなんておかしく思いながら見てた。アコギをつまびきながらの弾き語りだったのだけど、その声の強さうつくしさもさることながら、メロディが独特の感じを持っていて魅かれたな。さらっとしつつも、どの曲もどこか不思議な印象があって。途中、西村さんをギターに迎えて何曲かやったのだけど、西村さんのギターが入るとねー、もう、空気が魔法のようにいっぺんに色づくのがわかる。おっそろしいギター力です、ほんと…。西村さんが彼女にお中元に(笑)贈ったという曲が、まぎれもない西村印メロで素敵すぎた。6~7曲ぐらいやって、藤井さんパート終了。

 

で、西村さんセット。まずはひとりで新曲「ひまわり」、そしてもう何度か聴いている「キャンディ」。西村さんのギターの響きの豊かさ、そしてそれを引き出す彼のメロディの陰影の深さにうっとり。そしていよいよサポートのふたりを呼びこみ3人で、なのだけど、ミーハーファンとしてはAXで遠~くに見えていた伊藤さん(@キリンジ)や大田さん(@カーネーション)がすぐそこにいる!ってだけでブッ倒れそう…。で私、アコギ+エレクトリックベース+生ピアノ、なんていう編成の音を聴くのは初めてで、アコギと生ピだからアコースティックな曲をしっとりやるのかな~となんとなく想像してたら、いきなり1曲めがどロックチューンの「幸せな人生」(笑)!やービックリした。しかもこれが、もちろん今まで聴いたどれともちがうロマンティックさと繊細さを持ちながら、同時に、「この楽器編成のどこからこんな音が出るのよ!?」といぶかしくなるほどの図太いロックで。ああ、こんな説明じゃちょっと想像つかないだろうなー、ほんと凄い音だった!もう、この先、どの曲ももれなくそう。

 

とりわけ、伊藤隆博さんのピアノが…。もう、私の手持ちの言葉全部つなぎ合わせてもまったく足りない。素晴らしすぎる。どうしてあんなにセンスのいいフレーズを次々に繰り出せるんだろう…。「砂のコリン」のイントロで、西村さんのギターにかぶるように伊藤さんの鍵盤の音が降ってきた瞬間、本当に鳥肌が立った。これまでも伊藤さんのピアノの音はいろんな人のバックで聴いていたけれど、こんなに近い距離でマイクを通さずに生ピアノを聴くのは初めてだったし、想像以上の衝撃だった…。伊藤さんのピアノって、ものすごく繊細で上品なのに、たたずまいは太くて強靭で、やっぱりどこまでもロックなんだよね。なんて魅力的なんだろう。数多のアーティストからひっぱりだこになるのも当然だなー…と、今さらしみじみ。ああ、ゼイタクな体験だった。

 

あとね、まったく予想もしてなかったサプライズ、大田さんボーカルのカーネーション曲「Strange Days」がよかった!しかもバックが西村さんと伊藤さん、って、すっごいレア感。去年のバンブルライブでの「夜の煙突」performed byジャック達、に匹敵するレアさかも(笑)。大田さんのボーカル、いいよねー。カラダに似合わず繊細なんだよねー(←余計なお世話)。カネライブのときの「蜘蛛のブルーズ」しかり、ロマンティックな曲が好きなんだなーって。西村さんがつけたコーラスも何だか素敵で、カーネーションとは別の、この曲の輝きかた見ちゃった。

 

と、サポートの伊藤さんと大田さんだけですでにドキメロ状態なんだけど、やはり、これをなくして今の私はないというぐらい私にとっては運命的な存在である(←大げさだがホント)西村さんのギターがもう。今回もすごかった…。というか、この日はアコースティックだと思ってたから気を抜いてたのに(笑)、西村さんがアコギでやってること、エレクトリックギターと何ら変わりありませんでした、凄すぎ(笑)!やーほんと、開放弦でのんびりじゃらーんなんて演奏ひとつもないんだもん、左手がネック上を激しく行き来するわ、ハイフレット付近でキュインキュイン弾きまくるわ、長いソロが飛び出すわ、ピックで弦の上をギーーーーッとこすって降りていくわ、…これがアコギの一般的な弾き方でないことはギター門外漢の私にもわかるぐらいの見事な暴れっぷりでありました(笑)!もう、どうしてそんな演奏ができるのか!好きすぎるーーー。西村さん、最高!

 

と、なんか大ざっぱにしか書けないんだけど、現場では1曲1曲、深くズキュン!でした。バンドでの演奏も毎度スリリングで大好きな「スノーバード」もよかったし、本編最後の曲が、まさかこの編成ではやらないよな…と思った、西村さんの曲の中でももっともロック度の高い「HEY!HEY!」で、しかもめっちゃカッコよくって。座って弾いてるのに激しい大田さんのベース、座って弾いてるのに激しい西村さんのギター、静かなたたずまいなのにとんでもなく熱い伊藤さんの鍵盤、あーすさまじかった!!

 

西村さんの歌も、全体にますます図太くなっていてカッコよかった。そして、西村さん、大田さん、伊藤さんという、最高にしてお互いをわかりすぎるぐらいよくわかってる間柄のミュージシャン同士だと、たった3人でも、しかもこんな楽器編成でも、おそるべき音が鳴ってしまうんだなと、しみじみ思う…。完璧に想像の外にある音だった、いいもの聴いたなー。ほんと行ってよかったよ。今回のこのセットもものすごくよかったからぜひまた聴いてみたいし、来春ごろにたぶん…と予告していたバンドライブは底抜けに楽しみです!

 

どうにもならないことに日常ささやかにもがいたりしつつ…、でもライブのこと思い返しながら文章書いてたら少し前向きになってきたかも…。感じたこと書きとめておきたいことはもっともっとたくさんあるんだけど、それはまた。西村さん、大田さん、伊藤さん、素敵な音楽をどうもありがとう。

 

*セットリストっぽいもの(西村さんパートのみ)

ひまわり
キャンディ
幸せな人生
ウォーターメロン砦
砂のコリン
ストロベリー・ブルーズ
GOOD BYE
Strange Days(大田vo)
スノーバード
悲しみのキトゥン
キッチン・ミュージック(藤井cho)
エレクトリック・ラバー
HEY HEY(赤い汽車に乗って)

encore
天国への階段(LED ZEPPELINのカバー)