月夜のドライブ

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さねよしいさ子さんのライブ盤『カナリア!』

画像こないだのさねよしいさ子さんライブ(七夕音楽隊ライブ)は、今思い返してもちょっと夢の中のできごとみたいだったな。アゴラ劇場という場所が、ちょっと隠れ家的な匂いのあるスペースだったし(といっても小さい劇場にありがちな閉塞感がなかったのがまた気持ちよくて)、映像の面白さにも巻きこまれたし、ステージを上のほうから眺めていたせいもあって、ただでさえ非日常的ないさ子さんの世界ごと、書割の中に入っちゃったような感じで。

 

そのライブ会場で、発売になったばかりのライブCD『カナリア!』を買って、毎日くり返し聴いてる。これは、2月に発売された『チェリー!』に続く、「さねよしいさ子ライブレコーディングvol.2」ということで、全部で3か所でのライブが収録されているのだけど、私も行った2月の 吉祥寺MANDA-LA2と7月の下北沢ラ・カーニャの音源が収録されているのが個人的にウレシイ。「わたしの名前はあなたの名前」「マンナカ山」「プランテロンの結婚」「そらや愛やりんごや風」「手足」「星めぐりの歌」「中央高架下公園」の7曲を収録。

 

驚くのは、ライブレコーディングにもかかわらず、いさ子さんの歌はいつどんなときでも常に100%で、欠けているところがないってこと。それは、これまで3回(たった3回きりですが)のいさ子さんのライブを観ていてその場でも毎度感じることなのだけれど。その完璧さは、でも、非人間的な冷たさの対極にあって、なんというか、へこんでいてもひしゃげていてもどんな形をしていても、「さねよしいさ子である」っていう時点で100%という感じ。普通の人じゃ扱いきれないほどの「才」が、彼女のもとでは水や空気みたいに当たり前に見えることのすごさ。そしていさ子さんは、その水や空気を、惜しげもなくじゃんじゃん周りにふるまってくれる。

 

軽快な曲からしっとりした手ざわりの歌、凄みを感じるボーカル曲まで、いさ子さんの歌の幅広さには驚くばかりなのだけれど、中でも、フルバンドの演奏を従えた「わたしの名前はあなたの名前」「中央高架下公園」が、私はたまらなく好き。あ、夏秋さんのドラムが聴けるからという理由もちょっとはあるけど(笑)。「わたしの名前は~」の、ひそかな妖艶さから嵐のような迫力に身を翻していく演奏と歌、背筋がゾクッとする。そしてアルバムの最後に入っている「中央高架下公園」。いさ子さんのMCにクロスして入ってくる夏秋さんの軽やかでしたたかなスネアの音、低音を刻み始めるベース、グリッサンドで降ってくるピアノと、同時に鳴る派手でノイジーなギターの響き、ああ、このイントロを聴いて高揚しない人なんているのかな!途中からくるりとバンド全体がスイングし始めるところもドキッとするし、何よりいさ子さんの変幻自在のボーカルの気持ちよさったらない。それにしても、このあいだのライブのときにも書いたけど、この曲の夏秋さんのドラム、素敵すぎて聴くたび気失いそうになる…(泣)。あーこんなんじゃ身がもたない…。

 

それと、ラ・カーニャでの録音になる「手足」は、ちょっと言葉を失う。良原リエさんの繊細で美しいピアノと、いさ子さんの歌。なにか…そう、心の深いところが、掘り返されてしまう。こんな歌聴いちゃったら、さあ、どうしようかな。どうすればいいかな。歌って、すごいね。ただひたすらに。

 

ああ、泣けちゃう。手の届く場所に、いい音楽がなんてことない顔して存在しててくれることに、アリガト、って気持ち。

 

そうそう、「中央高架下公園」は、いさ子さんがMCで「私が吉祥寺に住んでいたときに作った曲で、実在の公園なんです」って。このときこの曲を飾っていた岩下さんのお茶目な映像は、まさにその「中央高架下公園」を映してた!こんど、行ってみようかな。

 

だあれも いないのだけど けども

ブランコ揺れて キスできないや

(「中央高架下公園」)

 

*『カナリア!~さねよしいさ子 ライブレコーディングvol.2~』さねよしいさ子

 

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カナリア!』と『チェリー!』はさねよしさんのサイト「はちみつレーベル」で通販中。

→はちみつレーベル http://www.mu-s.jp/hachimitsu/

(トップページ、音が出ま~す。これ、夏秋さんのイカすスティック音(笑)から始まる『チェリー!』の1曲め「アゼリカ・アゼリコ」なんだけど、流しっぱなしにするとまるまる1曲聴けちゃうので、これで試聴しちゃうのも手かも~♪)

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並べるとすごくカワイイ!