月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

プレイリスト「夏の午後、その体温。」

くらっと目眩するような白い陽射しと、網膜の上で対称を描くあまりにも深く濃い木蔭。そこでは空気も立ち止まり、時間は息を潜めて、風もそよがない。内側の体温だけが不用意に上がっていく。私の中の「夏」といえばそんなイメージ。あまり「爽やかな風」とか「ブルーの海」なんていう映像が浮かばないのは、海から遠く離れた場所で育ったからかもしれないけれど。というわけで、楽しくって止まらない(笑)プレイリストづくり、今回は題して「夏の午後、その体温。」夏です。午後です。熱っぽいです。しかも、かなり、歪んで、ひずんで、隠微で、エロティック。どうしても私、こういうのが好きみたい。ま、いつも語りまくってる音源ばかりでまたしてもあまり意外性のないセレクトだけど、夏の午後の14曲、流します。

 

A side

画像1. 「GRASSHARP & JERICHO」青木孝

(アルバム『ONE DAY』04年 より)

「萌え立つ草の匂い」「砕けては反射する 強い陽射しの照り返し」ああ、まさに私の夏のイメージ。青木孝明さんの曲を聴いていると、60~70年代の住人じゃなかったことを、そんなに悔しがらなくてもいいかなって思える。こんなメロディやこんなアコースティックギターの響きをリアルタイムで聴けるなら。

画像2. 「初夏の日の弔い」THE BEATNIKS

(アルバム『EXITENTIALIST A GO GO』87年 より)

語るまでもない大名盤より。私はこのアルバムに「フォーク・ロック」を教えてもらったのかも。これは高橋幸宏さんの作詞・作曲・ボーカル曲。「初夏」と「弔い」。やっぱり一筋縄じゃいかないアーティストだなあ。

画像3. 「G.o.a.P. (急いでピクニックへ行こう)」ムーンライダーズ

(アルバム『AMATEUR ACADEMY』84年 より)

ビートニクスからムーンライダーズへ。「森でワイン 堕落したいや」この不穏な体温の高さ。それにしてもムーンライダーズって、昔も今も、こりずに堕落周辺でうろうろしてるな…。だから愛してる。

画像4. 「あなたとハイな午後」グランドファーザーズ

(アルバム『Western-Charnande』89年 より)

ああ、さらにこんな曲…かなり湿度高め。じっとりと汗。視界歪む。ヤバイ…。青山さんのメロディってこの当時から堂々と変テコだね(ホメてます)。他のどこにもないこんなメロディに恋して、そのまま今に至ってるんだな、私。

画像5. 「ホリディ」カーネーション

(アルバム『GONG SHOW』88年 より)

もうこの流れ、青春過ぎてどうしよう(泣)。このアルバムはとにかく「夏」のイメージだね。中ジャケのメンバーもアロハシャツ着てるし。(でも今見たら、そんなに王道アロハでもなかった。)直枝さんの曲はどれも微妙な熱っぽさを帯びているけれど、これもまさに。

画像6. 「サン・タイガー」福岡史朗&BOXCOX

(アルバム『SUN TIGER』05年 より)

この衝撃のアルバムタイトルナンバーをプレイリストに閉じこめようとするのはちょっと無理があるかもしれないけど。福岡さんも、聴き手のどこかを揺らがせる声の持ち主。どんどん熱っぽさが増していく。くらくら。

画像7. 「HOW CAN I BE SURE」矢野顕子

(アルバム『Super Folk Song』92年 より)

言うまでもない、ヤング・ラスカルズの名曲のカバー。歌詞には「夏」なんてひとことも出てこないけれど、このアッコちゃんのピアノ弾き語りバージョンには、なぜか夏の午後の鬱屈した陽射しを感じるのだ。


B side

画像1. 「金色の午後」MAMALAID RAG

(ミニアルバム『銀の爪』05年 より)

涼しい顔してその底にかなりの危険な熱っぽさを潜めている田中拡邦くんの、まさにそんなイメージどおりの曲。「爽やか」のひとことで片付けられない微熱。スティール写真のような静けさなのに、どっか狂おしい。

画像2. 「彩夏夢」かしぶち哲郎

(アルバム『彼女の時』85年 より)

かしぶちさんのソロというと、ピアノかアコギでポロロンというイメージがあるけれど(そのパブリックイメージもすごいよね、本職はドラマーなのに)、この曲はめちゃロックです!かしぶちさんのかしぶちさんらしいと言うしかないドラムが炸裂し、良明さんの良明さんらしいと言うしかないギターが空気を切り裂いてる。でも、耽美。この曲は私、シングル盤も持ってるな。

画像3. 「僕の影君の影」上田ケンジ

(アルバム『フォーエバーラブ』00年 より)

あー、いい感じにどんどん歪んでいく…。日常生活に復帰できないかも…。今年初めの『青』で出合ってウエケンさんの虜になってしまい、遅ればせながら遡って聴いているこのアルバム。どれも、本当にいい。この曲は実は夏の歌でも昼の歌でもないのだけれど、夏の午後の、空気が止まった感じにぴったりだったので、入れました。

画像4. 「世界の真昼」割礼

(アルバム『セカイノマヒル』03年 より)

もう絶対、社会復帰無理。この真昼の陽射しと幻想に巻きこまれたまま、どっかいっちゃいます。ヤバイヤバイ…。このギター、好きすぎるなホント…。

画像5. 「睡眠」コモンビル

(アルバム『(この内容)C.O.A sessions』01年 より)

けすいけさんやkura_moさんに教えてもらったのも記憶に新しいコモンビル。その後、西山達郎さんのグループ「初恋の嵐」なんかも聴いているんだけど、西山さんのちょっととぼけていてチャーミングな声、とっても好きだな。この曲「睡眠」は、ゆったりした曲調が不思議にはらむ、荒々しさや禍々しさに魅かれる。

画像6. 「甘やかな身体」キリンジ

(アルバム『Paper Driver's Music』98年 より)

自分で作っといてナンだけど、この流れでこの曲、反則ワザすぎる…。高樹兄の詞とメロディはいつも禁じ手ばかり。そうきちゃマズイでしょってツボを狙い撃ち。ほんと人がワルイよ…。「切り花を買おう 行為の代価にするよ 愛の名にそしられるよっ!」

画像7. 「SUNDOWNER」チューインガム・ウィークエンド

(アルバム『KILLING POP』98年 より)

ああ、崩壊。ダメだ…。どうしようかと思いながらやっぱり好きでまた入れちゃった。相当参ってるね。チューインガム・ウィークエンドを聴くと、私の中の消えない10代がズキズキ痛む。「眩しく透き通った柔らかい夢を 見に行けるかい」真夏の午後の白さに射られて、高まった体温は下がらない。たぶん一生そうなんだ。

 


リアルに熱は高くなって、どこへも行けなくてドキドキする感じ。「夏」テーマでこのセレクトはねーだろってぐらいの鬱屈感だけど、今の私はこんな夏の午後が好き。不穏な秘密をはらんでいるような、ね。