月夜のドライブ

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青山陽一さんのDVD『Broken Words And Music In Concert』

画像チラチラ見てはいたのだけれど、やっと書けそうだ~。先月出た、青山陽一さんのライブDVD『Broken Words And Music In Concert』。いや、これはもの凄い…。1回視聴しただけでも、見どころの波に休む間もなく襲われて、ドキドキしっぱなし。ここにパッケージングされた「音楽」の濃さと質の高さに圧倒されない音楽好きがいるとしたら、そりゃ相当鈍感ってもんだ。と、めずらしく強気に言い切りたくなるぐらい、あまりに素晴らしい音楽がここにある。いつも飄々としてるけど、青山陽一って人、気付けばおっそろしい場所にいるよ、ホント…。

 

この05年12月25日に渋谷BOXXで行われたライブ、参戦したあやさんやとりりんから「1曲めが青山さんひとりの弾き語りで、そこから1曲ごとにミュージシャンがひとりずつ増えていく」っていう構成を聞いたとき、想像しただけでゾクッとしちゃったんだけど、実際、青山さんひとりの「夕闇におけるクロール」から始まって、「月曜のバラッド」でドラムの中原さんが入り、「Friday Rider」でキーボードの伊藤さんが入り、「Clyde Wright」でベースの鹿島さんが入り…っていうのを順に体験すると、もうほんと背筋がザワザワしちゃってたまんなかった。アコギ1本の曲から、少しずつ聴き手の心をほどいていって、いつのまにかこちらの内側にするりと入り込んでるような、このとんでもない色っぽさったら何だろう。

 

このライブ構成がまた同時に、バンドとしてのBlue Mountainsの魅力を解析するようで、実に気が利いてる。中原さんの男気あふれるファンキーなドラム、伊藤さんのどっか狂気をはらんだキーボード、鹿島さんの細心かつ大胆にうねっていくベース、ひとつひとつが丁寧に重なることで、そしてその先で常人には窺い知れないような化学反応が起こることで、あのグルーヴが生み出されてるんだなってつくづく感じる。いやマジで、何度も言ってるけど、今この青山さん率いるBM'sみたいな豊饒で自在なサウンドを鳴らせるバンドは、ちょっと他にないでしょう。青山さんの音楽的な視線がもう、国境とか時代とかを超えた自由な平野にあるからなんだろうな。日本の多くのバンドとは、もう全然フェイズのちがう場所にいる気がするよ、青山さんとBM'sは。

 

実際、ライブ全編、個性的なゲストの絶妙な演奏が絡んで、どれも魅力あるナンバーになっているんだけど、ぐるりと巡った末に行き着く感想は「青山さんとBM'sの演奏、素晴らしいなあ」ってこと。「Clyde Wright」とか「Quick Talk」、「Ultra Sonic Bicycle」、つまりは青山陽一さんのギター+ドラム、ベース、キーボード、っていう編成で放たれる音に、バンドとしてありうる最大限の可能性を感じて、もう本当に参ってしまう。特に「Quick Talk」!これはヤバすぎ…。ここんとこのライブでは毎回、後半のインプロがとんでもないことになっちゃってる曲だけど、いやーーーこの日の演奏はとりわけ、4人に何かがとりついちゃってるみたいだ。中原さんすげー!鹿島さんやべー!伊藤さんこえー!何よりバンマスの青山さんがすごすぎー!何たるギターの凄まじさ。普段あんな淡々としてる人がこんなおそろしいことになっている迫力モノの演奏。映像として記録されたってこと、音楽聴く者すべてにとっての財産だなー、あーでもできればこれ、最初っから全部聴きたかった…。

 

全体のカメラワークがまた素晴らしい。淡々とストレートに、そこにいる「ミュージシャン」とそこにある「音」を追いかけるだけの映像。それが何よりも饒舌に、ここで起こってることの凄さを伝えてる。目立つ衣裳も大がかりなセッティングも派手なスモークも流麗なMC(笑)も何もないのに、「音」だけで聴き手をこれだけ圧倒する、そんなこと、他にどれだけのミュージシャンができるっていうんだろう。つくづくとんでもないよ。

 

ダメだ、コーフンしすぎてつい文章が長くなってしまう…。BM'sのことだけで語りまくってしまった。「初めて行ったライブが伊藤銀次」という履歴を持つ私としては、銀次さんのギターの音にもいちいち心がウズウズしちゃうし、もちろん痩身ミュージシャン好きとしてはママラグ田中拡邦くんのヤバい外見&ヤバいギターにもうっとりしちゃうんだけど、その辺はまた書こう~。まあとにかくもの凄い音楽だ、ここにあるのは。それでいて青山さん自体はどこまでも飄々としてるから、その落差がひどくおっかしいんだよね。

 

*『Broken Words And Music In Concert』青山陽一